ダウール族

ダウール族：独自の文化と歴史を紡ぐモンゴル系[[民族]]

ダウール族は、中国北部に居住するモンゴル系の少数[[民族]]です。その歴史は古く、内モンゴル自治区北部や黒竜江省を主な居住地としてきました。18世紀後半には、清朝により新疆にも駐屯兵が派遣され、その末裔は現在もタルバガタイ地区に暮らしています。人口は約13万2千人と推定されています。

清朝時代と民族の識別

清朝時代、ダウール族はエヴェンキ族、オロチョン族、ホーチン・バルグなどとともにソロン八旗に編入されていました。言語や文化において、他のモンゴル系[[民族]]とは異なる独自性を持ちながらも、伝統的には自らを「モンゴルの一部」と認識していました。しかし、中華人民共和国建国後に行われた民族識別工作において、ソロン八旗を構成する諸民族の中で、バルグはモンゴル族に分類された一方、ダウール族は独立した少数[[民族]]として認められました。

ダウール語と民族の起源

ダウール族は、モンゴル諸語に属するダウール語を固有語として持ちます。地理的・文化的環境の影響から、モンゴル語とのバイリンガルが一般的でした。その起源については、モンゴル分岐説と契丹末裔説がありましたが、近年では、語彙や伝承から契丹貴族の大賀氏との繋がりを指摘する研究者が多いです。

生活様式と交易

伝統的に、ダウール族は漁業、牧畜、狩猟、農耕に従事し、オロチョン族やエヴェンキ族などとの交易も行っていました。皮革製品を生活用品や銃、酒などと交換する交易が盛んであったと考えられています。内藤湖南は、古代の国家である橐離国の建国者、東明王の出身地を松花江流域に住むダウール族と推測しています。

民族名の表記

ダウール族の民族名は、日本語では「ダウール」の他に「ダフール」「ダグール」など複数の表記が見られます。ダウール語による自称は「ダウール (Dawur)」で、中華人民共和国における正式名称「達斡爾族」もこの自称に基づいています。「ダグール」「ダゴル」はモンゴル語による呼称です。「ダフール」は清代中国語の音を元に転写された表記です。

言語と文字

ダウール族は、モンゴル語や満洲語との接触が深く、ダウール語自体には独自の文字がありません。モンゴル語からの借用語が多く、満洲語からの借用語も多いです。新疆に移住したダウール族は、カザフ語も使用していました。中華人民共和国では、ローマ字表記のダウール語が考案されましたが、公用語として採用されるには至らず、現在では中国語が公用語として使用されています。このため、ダウール語を母語とする人が減少し、言語の消滅が危惧されています。満洲文字を用いてダウール語の発音を表記する例もあります。

自治地域と民族区

ダウール族は、中国国内にいくつかの自治地域を有しています。内モンゴル自治区にはモリンダワ・ダウール族自治旗があり、黒龍江省には梅里斯ダウール族区が存在します。その他、複数の民族郷や民族鎮も存在し、独自の文化と自治を維持する努力が続けられています。ダウール語の維持と発展、そして独自の文化の継承は、今後の大きな課題となっています。

もう一度検索