ダックビブレ

ダックビブレ：東北の百貨店チェーンの興亡

ダックビブレは、かつて東京都港区に本社を置き、主に東北地方で百貨店を運営していた企業です。その歴史は、1978年にニチイ（後のマイカル）の支援によって設立された百貨店連合に遡ります。ここでは、ダックビブレの誕生から、マイカルグループからの離脱、そしてさくら野百貨店への改名に至るまでの経緯を詳細に解説します。

百貨店連合の誕生と再編

1978年3月18日、丸光、カネ長武田百貨店、山田百貨店、イチムラ、小美屋の5つの百貨店が、ニチイの支援のもと株式会社百貨店連合として設立されました。これにより、各地方百貨店は、三越からの商品供給を受けられるようになり、経営の効率化を目指しました。

1981年3月には、カネ長武田百貨店、山田百貨店、イチムラの3社が合併し、株式会社武田山田百貨店が設立。翌1982年3月には、丸光と小美屋が合併して株式会社丸光小美屋が誕生しました。そして同年9月、百貨店連合が武田山田百貨店と丸光小美屋を吸収合併し、各社が運営していた店舗の経営を引き継ぎました。

百貨店連合直営の百貨店としては、1981年11月6日に神奈川県厚木市にダックシティ厚木百貨店を開業しています。この店舗は後にニチイ直営となり、厚木ビブレを経て、現在はイオン厚木店として営業を続けています。

ダックビブレへの改称とビブレブランドの展開

1985年3月、百貨店連合は株式会社ダックシティに社名を変更。同年9月21日には、厚木以外の百貨店連合直営店舗の名称も『ダックシティ』と冠した店名に変更され、紙袋・包装紙も全店『ダックシティ』ブランドに統一されました。

その後、ダックシティ及びダックビブレはニチイ傘下の『ビブレ』ブランドとして、1994年3月1日にニチイ山形店を山形ビブレとして開業。1999年3月にはマイカル小樽に小樽ビブレを開業、2000年3月には北上ビブレを開業するなど、積極的に出店を進めました。一方で、既存店のスクラップアンドビルドも行い、ダックシティカネ長武田弘前店を閉店して弘前ビブレを、旧石巻店を閉店して石巻ビブレを、福島ビブレを移転開業するなど、店舗の再編も積極的に行いました。

しかし、1996年にダックシティ小美屋、1997年2月にダックシティ長岡店を閉店するなど、不採算店の閉鎖も行いました。1998年2月、ダックシティは株式会社ダックビブレに社名を変更しました。

2001年9月14日、親会社のマイカルが民事再生法適用を申請したことに伴い、ダックビブレも民事再生法の適用を申請し、事実上破綻しました。破綻後も営業を続けましたが、2002年1月10日に気仙沼ビブレを閉店しました。

マイカルグループを離脱、さくら野百貨店へ

2002年2月28日、日本政策投資銀行や取引先企業の出資により企業再建ファンドが設立され、ダックビブレはマイカルグループから独立しました。同年10月1日には、社名を公募で選ばれた『さくら野百貨店』に変更し、新たなスタートを切りました。

しかし、2001年9月以降、売上高が大幅に落ち込み、経営再建は難航しました。2004年1月には髙島屋と業務提携し、同年11月には仙台店の地下食品売り場を改装するなど、積極的な投資を行いましたが、2005年3月21日には福島店を閉店しました。

2005年4月、さくら野百貨店は会社分割を行い、仙台店を運営する2代目となるさくら野百貨店、仙台店の資産管理をするさくら野DEPT仙台、仙台以外の東北の店舗を運営するさくら野東北に分割されました。

各店舗の状況

ダックビブレが運営していた各店舗は、その後の経営状況や地域事情により、様々な変遷を辿りました。

小樽ビブレ: マイカル小樽の中核店舗として開業しましたが、マイカル全体の業績低迷により2002年に閉店しました。
ダックシティカネ長武田弘前店: 弘前ビブレとして郊外に移転しましたが、現在はさくら野百貨店弘前店となっています。
気仙沼ビブレ: ダックビブレの経営破綻後、一旦はイコーレ気仙沼として再開業しましたが、後に閉店しました。
ダックシティ丸光石巻店: 石巻駅前に移転し石巻ビブレとなりましたが、こちらも閉店しています。
山形ビブレ: 業績不振により2000年に閉店しました。
ダックシティ厚木百貨店: ニチイに譲渡され、厚木ビブレを経て、現在はイオン厚木店として営業しています。
ダックシティ小美屋川崎店: 川崎ルフロンの開業による競争激化で閉店し、跡地は川崎DICEとなっています。
ダックシティ長岡店: 周辺に総合スーパーが相次いで出店したことなどから閉店。跡地は長岡市役所の庁舎となっています。

ダックビブレの歴史は、地方百貨店の隆盛と衰退、そして再編の歴史を象徴するものと言えるでしょう。

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