ダナイー級軽巡洋艦

ダナイー級軽巡洋艦：第一次世界大戦と第二次世界大戦を繋ぐイギリス海軍の軽巡洋艦

ダナイー級軽巡洋艦は、第一次世界大戦中から戦後にかけてイギリス海軍が建造した軽巡洋艦の艦級です。艦名に共通して「D」が付くことから、D級軽巡洋艦とも呼ばれています。本稿では、ダナイー級軽巡洋艦の概要、艦形、兵装、機関、そして防空巡洋艦への改装などについて詳細に解説します。

概要

ダナイー級の建造は、第一次世界大戦下においてドイツ帝国海軍が建造を進めていた15cm速射砲搭載軽巡洋艦への対抗策として決定されました。1916年度計画では、3隻ずつ3グループ、さらに追加で6隻の建造が承認され、合計12隻の建造が計画されました。しかし、最終的には4隻の建造がキャンセルされ、8隻が就役しました。

本級は、先行するカーライル級軽巡洋艦をベースに設計されました。全長を約6メートル延長し、艦橋構造物と煙突の間に15.2cm速射砲を1基追加、計6門の15.2cm砲を搭載する強力な火力と、53.3cm魚雷発射管4基12門という強力な雷装を備えていました。しかし、5000トン級の船体に過剰な武装と見なされ、トップヘビーであるという批判も存在しました。ダナイー級はイギリス海軍での運用に加え、第二次世界大戦中には同盟国海軍にも供与され、広く活躍しました。

艦形

ダナイー級は、前級であるカーライル級と同様に短船首楼型船体を採用していました。艦首はクリッパー型で、艦首甲板上に15.2cm速射砲を背負い式に2基配置。艦橋構造物は箱型で、前部マストと共に三脚型マストを形成し、その背後に3番主砲が配置されていました。中央部に太い煙突が1本立ち上がり、その背後に4番主砲が配置。舷側には艦載艇置き場があり、ボート・ダビットが計6組装備されていました。53.3cm三連装魚雷発射管は各舷に2基ずつ配置。後部甲板には後部構造物が設けられ、後部マストと後部主砲2基が配置されていました。

防空巡洋艦への改装

「デリー」のみ、1942年にアメリカ合衆国のニューヨーク海軍工廠で防空巡洋艦への近代化改装を受けました。この改装により艦形は一新され、アメリカ海軍式の兵装が搭載されました。

改装後の艦形は、艦橋構造物が塔型となり、高角測距儀が艦橋頂上に設置。前部マストも簡素化されました。12.7cm高角砲は背負い式に2基、ヴィッカース4cmポンポン砲を連装砲架で2基搭載。2番煙突の背後には12.7cm高角砲を1基配置。後部マストも三脚型となり、その背後に後部射撃指揮所と後部主砲2基が配置されました。エリコン2cm機関砲も搭載され、各種レーダーも設置されました。さらに、1942年にはボフォース4cm機関砲が追加され、1943年と1944年にはエリコン2cm機関砲の増備・変更が行われました。

兵装

主砲

主砲はMk XII 1913年型15.2cm（45口径）速射砲で、仰角40度で19,660mの射程を誇りました。単装砲架で5基搭載されましたが、「ダイアミード」のみ1番主砲に単装砲塔が用いられました。砲架は仰角40度、俯角5度、旋回角度120度でしたが、上部構造物により射界が制限されました。発射速度は毎分5～7発でした。

備砲、魚雷兵装

高角砲にはMk I 7.6cm（45口径）高角砲を2基搭載。近接攻撃用としてヴィッカース4cmポンポン砲を初期は単装砲架2基、後に4連装砲2基に増強しました。対水上攻撃用として53.3cm魚雷発射管を三連装4基搭載しました。

防空巡洋艦の兵装

防空巡洋艦への改装後、「デリー」はMark 12 12.7cm（38口径）高角砲を単装砲架で搭載し、仰角45度で15,903m、最大仰角85度で高度11,887mに達する射程を誇りました。俯仰能力は仰角85度、俯角5度、旋回角度150度でしたが、上部構造物により制限を受けました。発射速度は毎分12～15発でした。近接火器としてヴィッカース4cmポンポン砲とエリコン2cm機関砲が搭載されました。

機関

ダナイー級はヤーロウ式重油専焼水管缶6基とブラウン・カーチス式ギヤードタービン2基2軸を組み合わせ、40,000shp、29ノットの速力を発揮しました。「ダイアミード」と「ドーントレス」のみパーソンズ式タービンを採用していました。機関配置は、機関区前部にボイラー室、後部に機関室という旧式な配置でした。

まとめ

ダナイー級軽巡洋艦は、第一次世界大戦下の建造から、第二次世界大戦での同盟国海軍への供与、そして「デリー」の防空巡洋艦への改装など、激動の時代を生き抜いた艦級です。その設計思想や搭載兵装、そして変遷を知ることで、当時における海軍技術や戦術の一端を垣間見ることができます。

もう一度検索