ダマスカスの戦い (2024年)

2024年ダマスカス攻防戦：アサド政権の危機と首都陥落の危機

2024年12月、シリア内戦において、反体制派によるダマスカスへの大規模な攻勢が展開されました。この戦闘は、シリア南部の反体制派勢力による首都ダマスカスへの急襲と、北部・東部からの同時攻撃によって特徴づけられます。結果として、ダマスカス郊外は反体制派に掌握され、アサド政権の存続は深刻な危機に瀕することとなりました。

戦闘の発端と展開

12月5日、反体制派組織タハリール・アル＝シャームとシリア国民軍はホムスへの大規模攻勢を開始（2024年ホムス攻勢）。同時期、南部作戦室はシリア南部からダマスカス郊外へと侵攻を開始しました。12月7日には、反体制派はダマスカス郊外の数多くの拠点を制圧、首都からわずか20キロメートル圏内にまで迫りました。

イランは、戦闘開始前にシリアからの軍事顧問と人員の撤退を開始しており、ダマスカスのイラン大使館職員もレバノンやイラクへ避難しました。これは、イランがアサド政権の崩壊を予測していた可能性を示唆しています。ホムスの陥落により、アサド政権の沿岸部拠点であるタルトゥースとラタキアからの支援は困難となり、ダマスカスは孤立無援の状況に陥りました。

ダマスカス南部攻防戦の激化

12月7日、反体制派はダマスカスを包囲したと発表。アル・サナマンを制圧した後、本格的な首都包囲を開始しました。親政府軍はダマスカス近郊の複数の拠点を放棄し、反体制派は首都から10キロ圏内まで進撃しました。シリア政府は反体制派の進撃を否定しましたが、ジャラマナ、ムアダミヤット・アル＝シャム、ダライヤなど、ダマスカス郊外の多くの地域が反体制派に掌握されたことが判明しました。

占領地域では、ハーフィズ・アル＝アサドの銅像が撤去されるなど、反政府感情の高まりが明確に示されました。さらに、反体制派が占領していない地域でも大規模な反政府デモが発生しました。

12月8日未明には、シリア人権監視団はアサド政権の崩壊とシリア軍の解散を報じました。ダマスカス空港からのプライベート便の離陸、路上で軍服を脱ぐ兵士の姿、サイドナヤ刑務所からの政治犯解放などが伝えられ、アサド政権の終焉を示唆する情報が相次ぎました。AP通信の報道によれば、ダマスカス市内では戦車が走行し、モスクからは「神は偉大なり」という声が聞こえたとされています。

シリア北部からの攻勢とアサド大統領の行方

南部作戦室によるダマスカス近郊への侵攻と並行して、シリア自由軍はパルミラを制圧した後、北部から首都へと迫っていました。反体制派は、政府高官や軍幹部の一部が寝返ろうとしていると発表しました。

シリア国営メディアはアサド大統領の逃亡説を否定しましたが、大統領の姿は通常居座る場所にはなく、大統領府にも不在だったという情報も出ています。最終的に、シリアの上級将校はアサド大統領がダマスカスから目的地不明の飛行機で脱出したとCNNに語りました。大統領の正確な居場所は、現在も不明です。

国際社会の反応

シリア内務省はダマスカス周辺に強力な防衛線を構築したと発表しましたが、状況は極めて緊迫していました。カタールはアサド政権の外交政策を批判し、国連はシリアの政治的移行のための緊急協議を呼びかけました。

結論

2024年12月のダマスカス攻防戦は、シリア内戦における重要な転換点となりました。反体制派による首都への大規模な攻勢は、アサド政権の崩壊という危機的状況を引き起こし、国際社会に大きな衝撃を与えました。アサド大統領の行方や、今後のシリア情勢は依然として不透明であり、今後の展開が注目されます。この戦闘は、2021年のカーブル陥落を彷彿とさせる出来事であり、首都陥落の危険性を改めて認識させるものでした。

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