ダービーグランプリ

サンケイスポーツ杯 ダービーグランプリ：地方競馬を彩った3歳ダートの祭典

「サンケイスポーツ杯 ダービーグランプリ」は、岩手県競馬組合が施行していた地方競馬の重賞競走です。1986年に創設されたこのレースは、地方競馬の3歳（かつては4歳）最強馬を決める競走として、長年にわたり多くのファンを魅了しました。

地方競馬の頂点を目指して

1986年当時は、地方競馬と中央競馬、あるいは他地区間の交流競走が限られていました。そのため、各地方競馬で4歳馬の重賞競走は独自に開催されていましたが、真の地方4歳最強馬は不明確でした。ダービーグランプリは、この状況を打破するため、地方全国交流競走として創設されました。地方競馬所属馬の頂点を決める、真のチャンピオンシップを目指した革新的な試みだったのです。

全国交流とグレード制への昇格

1996年には、施行場を盛岡競馬場に移転し、中央競馬所属馬も出走可能となる全国交流競走に指定されました。さらに、JRAのユニコーンステークス、大井競馬場のスーパーダートダービーとともに4歳ダート3冠シリーズを形成、1997年にはGIに格付けされ、名実ともに秋の3歳ダート最強馬決定戦としての地位を確立しました。

2001年には、ジャパンブリーディングファームズカップ（JBC）へのステップレース「Road to JBC」に指定され、優勝馬にはJBCクラシックの優先出走権が与えられるようになりました。この制度により、ダービーグランプリの重要性と注目度はさらに高まりました。

休止と復活、そして新たな体系へ

2007年を最後に、岩手県競馬組合は地方3歳有力馬の確保の難しさなどを理由に、ダートグレード競走の格付けを返上し、ダービーグランプリは休止となりました。しかし、2010年に地方全国交流競走として水沢競馬場で復活。産業経済新聞社から優勝杯の提供を受け、「サンケイスポーツ杯 ダービーグランプリ」と名称も変更されました。

2016年には岩手競馬の重賞格付け制度が開始され、M1に格付け。2021年には1着賞金が2000万円に増額され、フルゲートも拡大されました。賞金は年々増加し、2023年には3000万円に達しました。

しかし、2024年から始まるダート競走の体系整備に伴い、不来方賞がダートグレード競走(JpnII)に格上げされ、ダービーグランプリは2023年をもって終了することが決定しました。

最終回は豪華メンバーが集結

最後の開催となった第36回は、南関東三冠馬ミックファイア、ホッカイドウ競馬三冠馬ベルピット、ケンタッキーダービー出場歴を持つマンダリンヒーローなど、豪華なメンバーが集結しました。激しい競争の末、ミックファイアが優勝し、デビューから7連勝という輝かしい記録でダービーグランプリの歴史に幕を閉じました。

ダービーグランプリの条件と副賞

2023年の出走条件は、サラブレッド系3歳、地方競馬全国交流でした。負担重量は定量で、牝馬は2kg減。賞金は1着3000万円、2着1050万円と高額でした。副賞にはサンケイスポーツ賞、社台スタリオンステーション賞など、多くの賞が用意されていました。

3歳秋のチャンピオンシップ

2017年から「3歳秋のチャンピオンシップ」が実施され、各地の3歳主要重賞競走に出走する有力馬がダービーグランプリを目指して競い合いました。ダービーグランプリ優勝馬には、カテゴリーに応じてボーナス賞金が贈られました。しかし、ダービーグランプリの廃止に伴い、このシリーズも2023年で終了しました。

ダービーグランプリの歴史

1986年の創設以来、賞金や出走条件、施行場などが変遷し、地方競馬の変遷を反映してきました。GI格付け獲得、JRA所属馬の参戦、Road to JBCへの指定、そして最終的にはダート競走体系整備のため歴史に幕を閉じました。数々のドラマと名馬を生み出したダービーグランプリは、地方競馬の歴史に大きな足跡を残しました。

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