チェネリベーストンネル

チェネリベーストンネルについて

チェネリベーストンネル（Galleria di base del Monte Ceneri）は、スイスのティチーノ州に位置しており、モンテ・チェネリを貫通する鉄道トンネルです。このトンネルは、ルガーノに近いヴェツィアと、マガディノ平原のカモリノを結び、交通の効率化を図っています。

構造

このトンネルは、2つの単線トンネルから構成されています。東側のトンネルは全長15,452メートル、西側のトンネルは15,289メートルです。両トンネルは40メートルの距離を保ちながら、325メートルごとに連絡通路でつながっています。また、トンネル内の信号設備にはETCSレベル2が採用されており、1日に170本の貨物列車と180本の旅客列車が通行可能な能力を有しています。

歴史

チェネリベーストンネルの建設は、スイスを横断する低標高の鉄道路線を形成し、道路から鉄道への輸送転換を促す「モーダルシフト」を目指すアルプトランジット計画の一環として始まりました。1992年12月16日にスイス議会の承認を受け、1998年11月29日の住民投票で工事が支持を得て着工されました。このトンネルは、2007年に開通したレッチュベルクベーストンネルや2016年に開通したゴッタルドベーストンネルに続いている重要なプロジェクトです。

探査坑により地質データが収集され、その結果をもとに工法が決定されました。工事は2006年3月に始まり、公式の着工式が6月2日に行われました。当初、開通予定は2019年12月でしたが、トンネルシステムの入札を巡る問題により遅延し、2020年9月4日に開通式が行われました。最初の貨物列車が同日の11時30分に通過しましたが、実際の運行開始は12月以降となりました。

効果

チェネリベーストンネルは、急勾配のモンテ・チェネリ線に代わる重要な交通路となり、ゴッタルドベーストンネルへの南側の接続路線を形成しています。もう1つの接続は、ルイーノに通じるマッジョーレ湖沿いのルートです。これらのルートは、カモリノ接続点で合流し、交通の流れをスムーズにします。

トンネルの開通に加え、スイス国内での複線化により、チューリッヒからルガーノまでの移動時間が20分短縮され、チューリッヒとミラノ間は3時間17分となります。将来的には、イタリア側の改良工事が進むことによって、3時間程度の所要時間に短縮されることも期待されています。また、ベッリンツォーナとルガーノの間は27分から19分に、ルガーノとロカルノの間は50分から29分にそれぞれ縮まります。

貨物輸送の面では、平坦な路線によって貨物列車の長さを500メートルから740メートルに延長することが可能となります。ヨーロッパで進行中のピギーバック輸送のための整備も、このトンネルおよびその前後の路線で完了しています。しかし、イタリア側では古いルートが依然として低速運行を余儀なくされ、線路の容量向上に支障を来しています。また、ドイツ側でも拡張工事が進行中ですが、トンネル開通時点では740メートルの貨物列車の運行に関しては目途が立っていません。

関連項目

• - アルプトランジット計画
• - ゴッタルドベーストンネル
• - ツィンメルベルクベーストンネル
• - TAV

このように、チェネリベーストンネルはスイス国内外の鉄道ネットワークに大きな影響を与える重要な構造物と言えるでしょう。

もう一度検索