チェルニウツィー州

チェルニウツィー州について

チェルニウツィー州は、ウクライナの西部に位置する州であり、ルーマニア、モルドバと国境を接しています。州都はチェルニウツィーで、ロシア語ではチェルノフツィー州と呼ばれます。

地理

チェルニウツィー州の面積は8,097平方kmで、ウクライナ全体の約1.3%を占めます。州内には、全長10km以上の河川が75あり、主要な河川としてドニエストル川（290km）、プルート川（128km）、シレト川（113km）が流れています。

地形は3つの地帯に分かれています。プルート川とドニエストル川の間には森林ステップ地帯が広がり、カルパチア山脈とプルート川の間には山麓丘陵地帯、そしてカルパチア山脈のブコヴィナ部分には山岳地帯が広がります。

隣接する州は、イヴァーノ＝フランキーウシク州、テルノーピリ州、フメリニツキー州、ヴィーンヌィツャ州であり、ルーマニアとは約226km、モルドバとは約198kmの国境を共有しています。

歴史

チェルニウツィー州は、1940年8月7日にソビエト連邦がベッサラビアと北部ブコヴィナを占領した際に設置されました。この地域は、かつてルーマニア王国の行政区画の一部でした。

この地には、新石器時代にはククテニ文化が栄え、中世にはモルダヴィア公国の一部となりました。1775年にはハプスブルク君主国に併合され、その後オーストリア帝国の一部となりました。1812年にはベッサラビアがロシア帝国に併合され、1918年にはブコヴィナとベッサラビアがルーマニア王国に併合されました。また、ヘルトザ地方はモルダヴィアに属していましたが、後にルーマニア王国領となりました。

1940年から1941年にかけて、数千人のブコヴィナ住民がシベリアやカザフスタンへ追放され、1941年6月13日には13,000人が追放されました。追放された人々は知識階級、元公務員、ビジネスマンなど、様々な社会的階層に属していました。また、その多くはルーマニア人でしたが、他の少数民族も含まれていました。

ソビエト支配下のブコヴィナでは、ルーマニア系住民の抗議運動が起こり、ソビエト軍はこれに対し、国境を越えようとした人々に対して発砲するなど、苛烈な弾圧を行いました。

1940年9月から11月にかけて、ソビエトとナチス・ドイツの間で合意がなされ、チェルニウツィー州に住んでいたドイツ系住民約43,641人がドイツへ移送されました。

第二次世界大戦中、チェルニウツィー州はルーマニア王国に再占領されましたが、ユダヤ人コミュニティーが大規模に破壊され、多くのユダヤ人がゲットーから追放され、強制収容所でおよそ60％が命を落としました。1944年にソビエト軍がブコヴィナを奪回すると、多くの住民がルーマニアへ逃れたため、州は深刻な過疎に陥りました。

戦争によって、この地方の民族構成は大きく変化しました。1940年には、ウクライナ人476、ルーマニア人282、ユダヤ人110、ロシア人58、ドイツ人52、ポーランド人27というおおよその構成でしたが、ルーマニア人の数が激減した一方で、ユダヤ人、ドイツ人、ポーランド人は現在ではごく少数となっています。

1991年12月1日のウクライナ独立の際には、チェルニウツィー州の住民の92%が独立を支持しました。

行政区画

チェルニウツィー州には、11の行政区画（ラヨン）と、ラヨンに属さない2つの都市があります。

ラヨン

ヘルツァイウシキィ
フリボトシキィ
ケルメネトシキィ
ホティンシキィ
キトスマンシキィ
ノヴォセリトシキィ
プチリシキィ
ソキリャンシキィ
ストロジネトシキィ
ヴィジニトシキィ
ザスタウニウシキィ

都市

チェルニウツィー（州都）
ノヴォドニストロウシク

人口

2001年のウクライナ国勢調査によれば、チェルニウツィー州の総人口は922,800人です。都市人口は373,500人（40%）、農村人口は549,300人（60%）です。

性別人口は、男性が432,100人（47%）、女性が490,700人（53%）となっています。

モルドバ人とルーマニア人を異なる民族として分類することに対し、ウクライナのルーマニア人組織から批判が出ています。しかし、調査では回答者が自身の民族を自由に記述しており、選択肢が事前に提示されていたわけではありません。

1930年のルーマニア王国による調査では、現在のチェルニウツィー州にあたる地域には805,642人の住民がいました。そのうち、47.6%がウクライナ人、28.2%がルーマニア人でした。その他には、ユダヤ人88,772人、ロシア人46,946人、ドイツ人およそ35,000人、ポーランド人10,000人、ハンガリー人10,000人などがいました。

1940年以降、ソビエト連邦がこの地域を獲得すると、約41,000人のルーマニア人が追放または殺害され、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国からのウクライナ人の流入が奨励されました。また、ポーランド人の多くがソビエト当局によって追放され、ドイツ人のほとんどがドイツへ送還されました。1941年から1944年にかけて、ルーマニア王国が支配権を握った時代には、ユダヤ人コミュニティーが破壊され、強制収容所に送られるなどして人数が激減しました。

主要民族ごとに、自分たちの母国語を州の公用語と主張しているため、人口ごとの言語は90％超の民族構成に密接に反映しています。

脚注

参考文献

（日本語）伊東孝之, 井内敏夫, 中井和夫編　『ポーランド・ウクライナ・バルト史』 (世界各国史; 20)－東京: 山川出版社, 1998年. ISBN 9784634415003
（日本語）黒川祐次著　『物語ウクライナの歴史 : ヨーロッパ最後の大国』 (中公新書; 1655)－東京 : 中央公論新社, 2002年. ISBN 4121016556
（ウクライナ語）Історія міст і сіл Української РСР: Чернівецька область. — Київ: УРЕ АН УРСР, 1969.

外部リンク

* （[ウクライナ]]語）[チェルニウツィー州合同庁の公式サイト

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