チェロ協奏曲 (ウォルトン)

ウィリアム・ウォルトン　チェロ協奏曲

ウィリアム・ウォルトンのチェロ協奏曲は、著名なチェロ奏者グレゴール・ピアティゴルスキーからの委嘱によって作曲されました。ウォルトンは、この作品以前にヴィオラ協奏曲とヴァイオリン協奏曲を手掛けており、このチェロ協奏曲は彼の弦楽器のための協奏曲としては最後の作品となりました。

作曲は、第二次世界大戦後にウォルトンが居を構えたナポリ湾に浮かぶイスキア島で進められ、1956年に完成しました。この地での穏やかな環境が、作品に影響を与えたと考えられています。

初演は、1957年1月25日にボストンのシンフォニーホールにて、ボストン交響楽団の定期演奏会で行われました。独奏チェロはピアティゴルスキー自身が務め、指揮はシャルル・ミュンシュが担当しました。また、イギリス初演は同年2月13日にロイヤル・フェスティヴァル・ホールで、ピアティゴルスキーの独奏、サー・マルコム・サージェント指揮のBBC交響楽団によって行われました。

楽器編成

この協奏曲は、独奏チェロに加え、以下の楽器が用いられています。

木管楽器: フルート2（ピッコロ持ち替え1）、オーボエ2（コーラングレ持ち替え1）、クラリネット2（バスクラリネット持ち替え1）、ファゴット2
金管楽器: ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ
打楽器: ティンパニ、打楽器奏者3名（ヴィブラフォン、シロフォン、シンバル、大太鼓）、チェレスタ、ハープ
弦楽器: 弦五部

多彩な楽器が用いられ、豊かな響きが特徴的です。

楽曲構成

楽曲は、以下の3つの楽章から構成されています。

1. 第1楽章 モデラート
穏やかな雰囲気で始まり、独奏チェロの美しい旋律が印象的な楽章です。
2. 第2楽章 アレグロ・アッパッショナート
情熱的な楽章で、技巧的なパッセージが随所に現れます。
3. 第3楽章 主題とインプロヴィゼーション レント - アレグロ・モルト - アダージョ
緩やかな導入部から始まり、速いテンポの部分を経て、再び緩やかなアダージョで終わる、変化に富んだ楽章です。


演奏時間は約27分とされています。

この協奏曲は、ウォルトンの円熟した作曲技法と、ピアティゴルスキーの卓越したチェロ演奏技術が結実した作品であり、聴衆に深い感動を与える名曲として知られています。

参考文献

* 最新名曲解説全集10 協奏曲III（音楽之友社）

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