チャンピオンヒルの戦い

チャンピオンヒルの戦い

チャンピオンヒルの戦い（英: Battle of Champion Hill）は、南北戦争中の1863年5月16日にミシシッピ州ビックスバーグ近郊で発生した戦闘です。この戦いは、ビックスバーグ方面作戦における重要な転換点となり、北軍の勝利によって、後のビックスバーグ包囲戦へと繋がりました。この戦いは、ベイカーズクリークの戦いとも呼ばれることがあります。

背景

1863年5月14日に北軍がジャクソンを占領した後、南北両軍は今後の作戦を検討していました。南軍のジョセフ・ジョンストン将軍は、大半の部隊を率いてキャントン道路へ撤退しましたが、ジョン・C・ペンバートン中将には、エドワーズ駅からクリントンへ進軍し、北軍を攻撃するように命じました。しかし、ペンバートンとその部下の将軍たちは、この作戦が危険であると判断し、代わりにグランド湾からレイモンドへ移動していた北軍の補給部隊を攻撃することを決定しました。

ところが、5月16日、ペンバートンはジョンストンから以前の命令を再度受けることになります。ペンバートンは既に補給部隊の追跡を開始しており、レイモンド・エドワーズ道路上に位置し、その最後尾はチャンピオンヒルの頂上から500メートル南の交差点付近にありました。そのため、ペンバートンは反転を命じ、その結果、補給物資を積んだ荷馬車が軍隊の先頭に立つことになりました。

戦闘の経過

5月16日午前7時頃、北軍と南軍は衝突し、チャンピオンヒルの戦いが始まりました。ペンバートン軍はジャクソンクリークを見下ろす尾根沿いに、南西から北東へ約5キロメートルに及ぶ防衛線を構築しました。北軍のユリシーズ・グラント将軍は、この場所が南軍にとって戦略的に非常に有利な位置であったと回想しています。ペンバートンは、北軍の3つの部隊のうちの1つが、チャンピオンヒルの左翼の守りが薄い場所に向かっていることに気づいていませんでした。

南軍のスティーブン・D・リー准将は、チャンピオンヒルの頂上にアラバマ旅団を配置し、北軍の動向を監視していました。リーは北軍を発見し、北軍もまたリーの存在を確認しました。北軍の進撃を阻止しなければ、南軍はビックスバーグとの連絡を断たれる危機にありました。ペンバートンは危険を察知し、左翼に部隊を送りました。一方、チャンピオンハウスにいた北軍は砲撃を開始しました。

午前10時頃、グラントはチャンピオンヒルに到着し、攻撃を命令しました。ジョン・A・マクラーナンドの第13軍団が左翼を、ジェイムズ・マクファーソンの第17軍団が右翼を担当しました。ウィリアム・シャーマンの第15軍団はジャクソンからの出発が遅れていました。午前11時30分までに北軍は南軍の主要前線に到達し、午後1時頃、南軍のスティーブンソン師団の一部が後退し、北軍が頂上を占拠しました。マクファーソンの軍団はさらに前進し、南軍の撤退路であったジャクソン道路を遮断しました。

南軍はスティーブンソンを支援するためにボーワー師団を投入し反撃を試みましたが、北軍を頂上から押し返す程度に留まりました。南軍は陣地を維持するだけの戦力がなく、ペンバートンはローリングに丘の南側からの増援を命じましたが、ローリングは敵の戦力が強いとしてこれを拒否しました。

グラント軍は反撃を開始し、クリントンからボルトンを通って到着したばかりの部隊を投入しました。この攻撃に南軍は耐えきれず、ベイカーズクリークを渡るレイモンド道路を通って後退しました。ローリングはペンバートンの指示で進軍を始めたものの、戦闘を避けるように迂回していました。ロイド・ティルマンの旅団が後衛を務めましたが、砲撃によってティルマンを含む多数の犠牲者を出しました。午後遅く、北軍はベイカーズクリークの橋を確保し、夜半までにエドワーズを占領しました。南軍はビックスバーグの背後にあるビッグブラック川で防衛線を敷きましたが、翌日のビッグブラック川橋の戦いで最後の脱出機会を失いました。

戦闘後

チャンピオンヒルの戦いは、北軍の決定的な勝利となりました。グラントは、この戦いを「激戦だった」と回想し、敵の苦しみを和らげる行動も重要であると述べています。彼はまた、マクラーナンドの戦闘への消極的な姿勢を批判し、ペンバートン軍を全滅させられなかったことに不満を示しました。北軍の損失は約2,500名で、その大半は右翼のマクファーソン軍団に集中していました。一方、南軍の損失は約3,800名に及びました。この損失には、ジャクソンのジョンストン軍に合流するために戦線を離れたローリング師団の多くが含まれていました。

戦場跡の保存

チャンピオンヒルの戦場跡の一部、約800エーカー（3.2平方キロメートル）は、ミシシッピ州が所有しています。これらの土地は将来的にビックスバーグ国立軍事公園の一部となる予定です。戦場の南には、北軍の病院として使用されたコーカー・ハウスが残っています。この家には、戦闘の痕跡として弾痕が残っています。この歴史的な建物は、ジャクソン南北戦争円卓会議に寄贈され、後にミシシッピ州の歴史局に移管されましたが、現在は荒廃しており、今後の保存が懸念されています。戦場跡の大部分は個人の所有地であり、南北戦争諮問委員会によって、包括的な保存の可能性が高いと評価されています。南北戦争保存信託は、保存地役権を通じて戦場の144エーカー（0.58平方キロメートル）を保護しています。

脚注

参考文献:
National Park Service battle description
Grant, Ulysses S., Personal Memoirs of U. S. Grant
Kennedy, Frances H., ed., The Civil War Battlefield Guide
外部リンク:
Official Website of Champion Hill
National Park Service, Vicksburg
West Point Atlas map of Grant's advance from Jackson to Vicksburg
Civil War Battlefields Listed by Preservation Priorities
Animated History of The Battle for Vicksburg including Champion Hill

関連項目

ビックスバーグ方面作戦
西部戦線 (南北戦争)

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