チャートゥマ経

チャートゥマ経の概要

『チャートゥマ経』（チャートゥマきょう）は、パーリ仏典の中部経蔵に収録されている第67経です。同経典は、他にも『車頭聚落経』や『舎利弗摩訶目連遊四衢経』などの名で知られています。また、類似の教えを持つ漢訳の経典としては『舎利弗摩訶目連遊四衢経』があり、大正蔵の137番に位置付けられています。

経典の内容

この経典は、釈迦がコーサラ国のチャートゥマという地に滞在していた時に語られました。彼の teachings は、新しく比丘の道に入った若い僧侶たちに向けられています。釈迦が新入りの比丘たちに対して教えを与える背景には、彼らの行動が騒がしく、そのために釈迦が彼らを厳しく扱おうとする場面が描かれています。

登場人物

この経典では、いくつかの重要な登場人物が登場します。
1. 釈迦 - 仏教の教祖であり、比丘たちに教えを説く。
2. 比丘たち - 新入りの僧侶たちで、釈迦の教えを学びに来た。
3. 釈迦族たち - 釈迦の親族で、彼の行動を観察している。
4. 梵天 - 宇宙の神であり、釈迦に対して人間の心情を訴える。
5. サーリプッタ（舎利弗） - 智恵を持つ比丘の一人。
6. モッガラーナ（目連） - 超能力を持つ比丘で、共に釈迦の教えを広める。

場面設定

経典の舞台は、コーサラ国のチャートゥマに設定されています。釈迦が滞在中、サーリプッタとモッガラーナが500人の比丘を連れて訪れます。しかし、若い比丘たちの騒がしい行動が、釈迦の注意を引きます。釈迦は彼らに対して厳しい態度をとろうとしますが、周囲にいる釈迦族たちや神々の梵天が彼を止め、比丘たちに対する優しさをもって接するようにと説得します。彼らは、種子や幼児に例えながら新入りの比丘を容赦されるべきだと釈迦に訴えます。

その結果、釈迦はサーリプッタやモッガラーナと対話し、彼らが新入りの比丘たちを守る役割を果たすべきだと確認します。釈迦は、在家から比丘に転向することの意味を四つの恐怖と関連づけ、新しい比丘たちにその重要性を説きます。

教えの要点

『チャートゥマ経』は、比丘たちが仏法に深く理解し、実践するための道筋を示しています。若い比丘たちが持つ不安や恐れを理解し、慈悲深く教えを受け入れる姿勢の重要性を語ります。この経典を通じて、比丘たちは仏法に従った生き方を模索し、内面的な成長を遂げることが求められているのです。

また、経典では聴衆との対話が重視され、指導者がどう行動すべきかということを考察しています。釈迦の教えは、比丘たちに対しての理解と配慮を促し、彼らを新たな修行の旅へと導くものです。

参考文献

• - 『南伝大蔵経・経蔵・中部経典2』（第10巻）大蔵出版
• - 『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇I』片山一良訳 大蔵出版
• - 『原始仏典 中部経典2』（第5巻）中村元監修 春秋社

このように『チャートゥマ経』は、仏教の基本的理念を身近に感じられるように表現し、新入りの比丘たちに向けた重要な教えが収められています。

もう一度検索