チャールズのかしのき座

チャールズのかしのき座

チャールズのかしのき座（Robur Carolinum）は、エドモンド・ハレーによって1679年に設立された星座です。この星座はイングランド国王チャールズ2世を称賛するために作られ、1651年のウスターの戦いにおける清教徒革命の重要な出来事がモチーフとなっています。

チャールズ2世は、オリバー・クロムウェル率いる軍の圧力に直面し、生命を守るために身を隠さざるを得なかったという歴史的背景があります。彼が身を隠した場所とされるロイヤル・オークの木は、チャールズのかしのき座の象徴となっています。この星座は、ハレーがセント・ヘレナ島で行った星の観測をもとに作成され、『南天星表』（Catalogus Stellarum Australium）という著作の中で初めて公式に発表されました。

この星座は、もともとアルゴ座の一部を利用して形作られ、現在のりゅうこつ座に見られるβ星とη星を含む計12の星から成り立っていました。しかしながら、チャールズのかしのき座は実際にはあまり活用されることがなく、一般的な星座として定着することはありませんでした。その後、ドイツの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスが作成した星図には、この星座のオークの木が描かれており、オークの木が押し倒されている様子が表現されていました。

星座の名称に使用される「かしのき」という言葉には誤解が生じることがあります。イギリスでは「oak」と呼ばれる木は、樫の木ではなく、実際にはヨーロッパナラに該当します。そのため、名前自体が持つ意味や背景にも注意が必要です。

チャールズのかしのき座は他の著名な星座と比べると知名度は低いものの、歴史的な背景を含んだ珍しい存在です。星座が持つ物語を知ることで、星々の背後にある人間の歴史や文化を感じ取ることができるでしょう。天文学は時折、天の流れを見つめながら、過去の物語を語りかけるものです。にもかかわらず、チャールズのかしのき座は今なお存在し続け、多くの人々に不思議な魅力を放っています。

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