チャールズ・ビックフォード

チャールズ・ビックフォード: アメリカの名脇役

チャールズ・ビックフォード（Charles Bickford）は、1891年1月1日にアメリカ・マサチューセッツ州ケンブリッジで生まれた。7人兄弟の中で5番目の子として育った彼は、演技の道を志すまでに様々な職業を経験した。その中には、木こりや疫病駆除の事業、海軍機関士としての仕事などが含まれ、人生の初期は波乱に満ちていた。

彼が俳優としての道を歩むきっかけは、サンフランシスコで出会ったバーレスクの女優に恋をしたことだった。1911年、オークランドのショーに役者として出演し、その後は十年以上にわたってアメリカ中を巡業した。1925年にブロードウェイ公演『Outside Looking In』での成功により、彼の名声は高まり、ハリウッドからのオファーが舞い込むようになるが、ブロードウェイでのキャリアを手放すことができず、しばらくはその道を選ぶ。

彼の映画キャリアが本格的に始まるのは、1929年にセシル・B・デミル監督による映画『ダイナマイト』からである。この映画は彼にとって初めての大きな役割で、以降はグレタ・ガルボの初のトーキー作品『アンナ・クリスティ』での共演を経て、彼は人気俳優としての地位を築く。その後、ビックフォードは愛の物語の主人公を演じることはなかったが、彼の個性的なキャラクターや存在感が、様々な役に活かされていく。

ビックフォードは、特に悪役や厳格なビジネスマン役で知られ、強い個性を持つ性格俳優として評価された。しかし、彼のキャリアには波乱も伴った。彼は監督やスタジオのプロデューサーと衝突することが多く、特にMGMのルイス・B・メイヤーとの間に数多くのトラブルが発生し、時には肉体的な争いに発展することもあった。その結果、彼のMGMとの契約は短期間で終了し、その後はフリーランスとして活動することになる。

1935年には映画『ジャバの東』の撮影中にライオンに襲われて重傷を負った。この事故から復帰を果たしたものの、彼のキャリアには影響が及び、多くの契約が白紙に戻されてしまう。しかし、この苦境が彼を「性格俳優」としての道に進ませ、彼の演技はさらに深みを増していく。

ビックフォードは、1940年代に入るとアカデミー助演男優賞に3度ノミネートされるが、受賞には至らない。彼が出演した作品では、共演の女性たちがアカデミー賞を受賞するなど、彼の演技力は高く評価されていた。1950年代に入ると、テレビドラマにも進出し、その活躍の場を広げた。

1965年には自伝『Bulls Balls Bicycles & Actors』を出版し、彼の人生の歩みや俳優としての経験について語っている。チャールズ・ビックフォードは、1967年に血液感染症によりこの世を去るが、彼の遺した作品や演技は今もなお、多くの人々に親しまれている。

主な出演作品

• - ダイナマイト (1929)
• - アンナ・クリスティ (1930)
• - ジャバの東 (1935)
• - 平原児 (1937)
• - 聖処女 (1943)
• - 白昼の決闘 (1946)
• - ミネソタの娘 (1947)
• - ジョニー・ベリンダ (1948)
• - アメリカ野郎 (1951)
• - スタア誕生 (1954)
• - 夜の乗合自動車 (1956)
• - 大いなる西部 (1958)
• - 酒とバラの日々 (1962)
• - 廿日鼠と人間 (1963)
• - テキサスの五人の仲間 (1966)

彼の人生と演技は、ただ単に映画の世界に貢献しただけでなく、今でも多くの相手役との共演を通じて数々の名シーンを生んできた。

もう一度検索