チュンマリー・サイニャソーン

チュンマリー・サイニャーソンの生涯

チュンマリー・サイニャーソン（Choummaly Sayasone）は、1936年3月6日にラオス南部のアッタプー県で生まれました。彼はラオスの軍人、政治家であり、ラオス人民革命党の重鎮として、また国家主席として、ラオスの歴史に深く関わりました。

軍人としてのキャリア

1954年、チュンマリーはフアパン県で革命運動に参加し、左派勢力の兵士となりました。翌年、ラオス人民党に入党し、ラオス内戦ではパテート・ラーオの将校として活躍しました。1960年から1974年にかけてシェンクワン軍管区司令官を務め、その間、ベトナム人民軍陸軍学校で軍事戦略を学びました。1969年に同校を卒業しています。また、1978年にはソ連陸軍学校にも留学し、軍事的な知識を深めました。

ラオス内戦終結後、1975年にラオス人民民主共和国が成立すると、チュンマリーはラオス人民軍の准将に任官し、作戦部長や参謀次長を歴任しました。1982年には少将に昇進し、国防副大臣に任命されました。これらの役職を通じて、彼はラオスの軍事組織の発展に貢献しました。

政治家としての台頭

1982年、ラオス人民革命党第3回党大会で党中央委員に選出され、政治家としてのキャリアを本格的にスタートさせました。1986年には政治局員候補となり、党内での地位を着実に高めていきました。1991年には党政治局員に選出され、同年には国防大臣に任命され、カムタイ・シーパンドーン内閣に入閣しました。その後も、副首相を兼任するなど、政治の中枢で活躍しました。

2001年には国家副主席に就任し、党国防・治安維持委員会委員長も兼任しました。2006年3月には、党書記長に選出され、ラオスの最高指導者となりました。同年6月には国家主席に選出され、カムタイ・シーパンドーンからその地位を引き継ぎました。2011年には党書記長に再選され、その影響力を維持しました。2016年1月、党書記長の職をブンニャン・ウォーラチットに譲り、党政治局からも退きましたが、党中央委員会顧問として政治に関わり続けました。

人物像

チュンマリー・サイニャーソンは、読書とガーデニングを趣味とする温厚な人物としても知られています。彼は前妻とケオサイチャイ夫人との間に3男5女を儲けました。ケオサイチャイ夫人は、チュンマリーが国家主席を務めていた間、ファーストレディとして公務を支えました。しかし、夫人は2021年にナムグムダムでの事故で息子と共に水死するという悲劇に見舞われました。

日本との関係

チュンマリー・サイニャーソンは国家主席として、2009年5月と2010年3月の2度日本を訪問しており、日本とラオスの友好関係の深化に貢献しました。

まとめ

チュンマリー・サイニャーソンは、ラオスの軍人、政治家として、長年にわたり国の発展に尽力した人物です。彼の軍事、政治における経験は、ラオスの現代史において重要な役割を果たし、特に、党の最高指導者、国家主席として国を導きました。彼の生涯は、ラオス現代史における重要な一章として記憶されています。

参考資料

• - 山田紀彦「ラオス人民革命党第7回大会 ― 残された課題 ― 」（石田暁恵編『2001年党大会後のヴィエトナム・ラオス ― 新たな課題への挑戦』アジア経済研究所、2002年3月）
• - カム・ヴォーラペット『現代ラオスの政治と経済』（藤村和広・石川真唯子訳、めこん、2010年）
• - チュンマリー・サイニャーソン国家主席略歴（日本国外務省）

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