チョウスワー

チョウスワーについて

チョウスワー（ビルマ語: ကျော်စွာ）は、1260年8月2日に生まれ、1299年5月10日に亡くなったパガン王朝の第12代国王です。彼は1289年5月30日から1297年12月17日まで在位し、父である第11代国王ナラティーハパテの直系の子孫です。この王は、史料によって名前が異なることもありますが、一般にルイナンシャンやクラワチュワーとも呼ばれ、元史では的立普哇拿阿ディティ牙と記されています。

生涯の初期

1287年、チョウスワーの父であるナラティーハパテが没した時、彼はダラの太守としての地位についていました。当時、異母兄弟のティハトゥが支配権を狙い、父と長兄ウザナを殺害しましたが、チョウスワーはその攻撃を退けることに成功します。ティハトゥの死後、パガン王家で唯一生き残った彼は王位を継ぎました。

在位と外交

チョウスワーは1297年に元朝との友好関係を築くため、長子のシムハパティを朝貢の使節として派遣しました。この行動により、彼は王位を正式に認められ、国の領土と通商の安全を保証されました。チョウスワーはこの知らせに喜び、家臣たちを呼び寄せて勅語を朗読させるほどでした。

しかし、パガン王家とは別に元から王位を与えられていたシャン民族の有力者である3兄弟は、王の即位を快く思わず、彼を廃立しようと企んでいました。特に、皇太后のソウはこの陰謀の中心人物として知られています。

政変と暗殺

1299年、タイ系民族の金歯族からの略奪により国の経済が窮乏し、チョウスワーはテムル・ハーンに窮状を訴えました。この訴えに対してテムルは象の貢納を免除するなどの支援を行いましたが、同年または1300年に王は廃位され、さらに殺害されるという悲劇に見舞われます。

実際、19世紀に編纂された『玻璃王宮大王統史』には、チョウスワーは三兄弟とソウの策略により強制的に出家させられたと記されていますが、これは事実とは異なるとされています。実際には、チョウスワーとシムハパティ、そして彼が信任していた廷臣や僧侶が虐殺される政変が起きていたのです。

参考文献

彼の生涯や王朝についての詳細は、以下の資料に触れるとより深く理解できます。
1. G.E.ハーヴェイ著『ビルマ史』（東亜研究所訳、ユーラシア叢書、原書房、1976年）
2. C.M.ドーソン著『モンゴル帝国史』3巻（佐口透訳注、東洋文庫、平凡社、1971年）
3. 大野徹著『謎の仏教王国パガン』（NHKブックス、日本放送出版協会、2002年）
4. 『元史』巻211、列伝第97、外夷3、緬

チョウスワーの物語は、政権の脆弱さと裏切りのドラマを浮き彫りにしており、彼の悲劇的な死はパガン王朝における権力争いの一端を象徴しています。

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