チリの政党

チリの政党

チリにおける政党政治は、その歴史の中で大きく変遷を遂げてきました。1973年のクーデターを境に、それ以前の「三等分構造」から、軍政を経て、民政移管後の二大政党連合を中心とした体制へと移行しました。しかし、近年では新たな選挙制度の導入や政党連合の分裂、新興勢力の台頭などにより、その構図は再び変化を見せています。

歴史的背景

1973年9月のクーデター以前、チリの政治は左派（社会党、共産党）、中道（キリスト教民主党）、右派（国民党）がそれぞれ3分の1程度の勢力を持つ「三等分構造」が特徴でした。しかし、ピノチェト将軍による軍事政権下で、全ての政党が解散させられました。

1990年の民政移管後、「修正2名制」選挙制度が導入されたことで、コンセルタシオン・デモクラシア（左派・中道）と変革のための同盟（右派・中道右派）という二大政党連合が中心となり、穏健な多党制へと移行しました。

しかし、2017年の総選挙から新たな選挙制度が導入されたこと、新多数派（コンセルタシオンの後身）の分裂、新興左派政党連合の誕生などにより、二大政党連合の構図は大きく変化しています。

近年の政党勢力

民政移管後、中道左派のコンセルタシオン・デモクラシアが一貫して政権を維持していましたが、2010年には中道右派の「変革のための同盟」が政権を奪取し、初の右派政権が誕生しました。コンセルタシオンは2013年に共産党など左派政党を加え「新多数派」として再編され、政権を奪還しました。

その後、新多数派は意思決定を巡り分裂し、左派政党による「多数派の力」とキリスト教民主党を中心とした「民主的集中」に分かれました。一方、中道右派は2015年に新たな政党連合「チレ・バモス」を結成しました。

2017年には、学生運動のリーダーを中心に「広域戦線」が結成され、大統領選挙で2割以上の得票を獲得し、議会でも躍進を遂げ、第三勢力として台頭しました。

主要な政党と政党連合

全国政党

国民革新党 (Renovación Nacional)
キリスト教民主党 (Partido Demócrata Cristiano)
民主主義のための政党 (Partido Por la Democracia)
独立民主連合 (Unión Demócrata Independiente)
チリ社会党 (Partido Socialista de Chile)
チリ共産党 (Partido Comunista de Chile)
急進社会民主党 (Partido Radical Socialdemócrata)
独立地域党 (Partido Regionalista de los Independientes)

地方政党

人道党 (Partido Humanista)
環境党 (Partido Ecologista)
地方勢力 (Fuerza País)
チリ・キリスト教左翼党 (Partido Izquierda Cristiana de Chile)
チリ第一党 (Chile Primero)

主な政党連合

多数派の力 (La Fuerza de la Mayoria)：社会党、民主主義のための党、共産党、急進社会民主党など左派政党による連合。
民主集中 (Convergencia Democrática)：キリスト教民主党を中心とする中道政党連合。
広域戦線 (Frente Amplio)：2017年結成の新興左派政党連合。
チレ・バモス (Chile Vamos)：独立民主連合、国民革新党など右派・中道右派政党による連合。

過去の政党連合

人民連合(Unidad Popular)
[人民戦線]
コンセルタシオン・デモクラシア（民主政党連合、Concertación de Partidos Por la Democracia)
我々といっしょにできる(フント・ポデーモス・マス、Juntos Podemos Más)
[新多数派]
チリのための同盟 (Alianza por Chile、Alliance for Chile)
[変革のための同盟]

マヌエル・ロドリゲス愛国戦線

マヌエル・ロドリゲス愛国戦線(Frente Patriotico Manuel Rodriguez)は、反米の極左過激組織であり、チリ共産党の軍事部門として設立されました。テロ活動を通じて政府への抵抗を試みましたが、後に分裂し、主流派は合法政党化しました。

チリの政党政治は、歴史的な変遷を経て、現在も多様な勢力が複雑に絡み合っています。今後の動向から目が離せません。

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