ツボミオオバコ

ツボミオオバコ (Plantago virginica)

概要

ツボミオオバコは、オオバコ科オオバコ属に分類される一年生または二年生の草本です。道端や空き地など、人の手があまり入らない場所に生育する雑草として知られています。和名の由来は、その花が蕾のまま開かないように見えることに由来します。タチオオバコとも呼ばれることもあります。北アメリカ原産で、日本では帰化植物として本州から九州にかけて分布しています。

形態・生態

ツボミオオバコは、全体が白い毛で覆われているのが特徴です。葉は根生葉のみで、倒披針形から楕円形をしており、両面に多くの毛が生えています。葉の縁には低い波状の鋸歯があります。

花期は春から夏にかけてで、10～30cmの花茎を伸ばし、淡黄褐色の穂状花序を形成します。花序は円柱形で、幅5～6mm、長さ3～15cm程度です。花は小さな苞葉に包まれており、萼は長さ2～2.3mmです。花冠は根元が筒状で先端が4裂しますが、花被片は完全に開かず蕾のように見えます。雄蕊は花冠の外に現れることはありません。果実は横に裂開し、2個の種子が現れます。種子は黒色の楕円形で、長さは約1.8mmです。

日本在来種のエゾオオバコ（Plantago camtschatica）と葉の形が似ていますが、エゾオオバコは花冠の裂片が大きく開き、一つの果実の中に4つの種子が入る点が異なります。

分布・生育地

ツボミオオバコの原産地は北アメリカです。日本では帰化植物として知られており、1913年に愛知県で、1934年に大阪府で初めて採取された記録があります。その後、日本全国に分布を広げていますが、生育数はそれほど多くありません。主に空き地や道端など、人の手があまり入らない場所に生育しています。

参考文献

長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。
近田文弘監修、亀田龍吉・有沢重雄著『花と葉で見わける野草』小学館、2010年4月10日、59頁。ISBN 978-4-09-208303-5。
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、136頁。ISBN 4-635-07001-8。
『写真で見る外来雑草』畜産技術協会、1995年、21頁。ISBN 4-88137-056-1。
岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2007年、98頁。ISBN 978-4-88137-135-0。
岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』（4版）全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2009年、99頁。ISBN 978-4-88137-146-6。

関連項目

オオバコ
ヘラオオバコ
草の一覧
帰化植物

外部リンク

Plantago virginica L. - Integrated Taxonomic Information System （英語）
Plantago virginica - National Center for Biotechnology Information（NCBI） （英語）
Plantago virginica - Encyclopedia of Life （英語）
ツボミオオバコ - 植物雑学事典
* ツボミオオバコの不稔花・稔性花 - 花＊花・flora

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