ツマジロ

ツマジロ (Carcharhinus albimarginatus)

ツマジロは、メジロザメ属に属するサメで、主にインド洋や太平洋周辺のサンゴ礁に生息しています。このサメは最大で3メートルに成長し、鰭の白い縁取りが特徴的です。攻撃的で力強い捕食者であり、主に硬骨魚を餌として捕食しますが、同サイズの他のサメと競争し、種内争いが見られることもあります。繁殖は胎生で、夏に1から11匹の仔を産むため、その繁殖力は低いとされています。このため、漁業の影響で個体数が減少しており、IUCN（国際自然保護連合）は2016年にこの種を危急種と評価しました。

分類と名称

ツマジロは1837年にドイツの博物学者エドゥアルト・リュッペルによって記載され、その後Carcharhinus属に移されました。種名の「albimarginatus」はラテン語で「白い縁取り」を意味し、鰭の特徴から名付けられています。最初のタイプ標本は1960年に紅海で捕獲された103cmの未成熟雄です。また、オグロメジロザメとの近縁性も確認されています。

生息地

ツマジロはインド太平洋と東太平洋で主に散在しています。具体的には、紅海から南アフリカ、マダガスカル、ソロモン諸島、タヒチなど多様な場所へ分布しており、特にサンゴ礁が多い地域で見かけられます。幼体は沿岸の浅い水域で見られることが多く、成体はより深い場所に生息しています。

形態的特徴

このサメの体は流線型で頑丈、吻は比較的長く、眼は大きく丸いです。鰓裂は5対あり、短めです。歯は上下顎にそれぞれ12から14本あり、中央に1から2本の正中歯列が存在します。一般的な体色は灰青色で、腹面は白いです。特に鰭の先端は白く、全体的に微妙な白い帯があります。

行動と生態

ツマジロは高い遊泳能力を持ちながらも、縄張りをもつ傾向があり、通常は単独か2匹の個体が観察されます。食事の競争では同サイズのガラパゴスザメやカマストガリザメを制圧する力を持っています。このサメは動物とともに泳ぐことも多く、ダイバーの接近に対しては特有の威嚇行動を見せることがあります。

食性と摂餌

ツマジロの食性は主にハタやサバ、マグロ、トビウオなどの硬骨魚です。種類によっては他の小型のサメやタコも食べることがあります。特に大きな個体は、より底生の獲物を捕食しやすいと言われています。彼らは餌を追いかける際、他のサメの周囲を泳ぎながら餌を奪うこともあります。

繁殖

ツマジロは胎生で、妊娠期間は約1年です。交尾は夏に行われ、雌は通常3から11匹の仔を産みます。成長度合いには個体差があり、一部の幼体は思うように成長しないこともあります。このサメは、オスが1.6から1.8メートル、または1.9から2.0メートルのサイズで性成熟することが確認されています。

人との関わり

ツマジロは非常に好奇心が強く、潜在的に人に対して危険な存在とされています。ダイバーに対しては近接してきて威圧的な行動を取ることがあり、人に攻撃する事例も報告されています。また、漁業においては延縄や刺し網などで意図的に捕獲され、肉や鰭は消費されます。しかし、捕獲圧が強いため、個体数は減少しています。日本では、沖縄美ら海水族館で初めての展示が行われました。

結論

ツマジロは、その攻撃性や美しい体色、そして独特な生態によって魅力的なサメです。しかし、急速な減少に直面しているため、保護活動が求められています。自然界での生態系のバランスを保つためにも、ツマジロの保護が大切です。

もう一度検索