ツール・ド・フランス2007

ツール・ド・フランス2007：ドーピング問題に揺れた激動のレース

2007年のツール・ド・フランスは、94回目の大会として、イギリスのロンドンからフランス・パリまでの3,553.9kmを舞台に、21ステージに渡って繰り広げられました。

イギリス・ロンドンからのスタートと、歴史的なコース

この大会の大きな特徴の一つは、スタート地点がイギリス・ロンドンのトラファルガー広場であったことです。ツール・ド・フランスのコースがドーバー海峡を越えてイギリスを経由するのは、1974年と1994年に続き3度目でしたが、ロンドンをスタート地点とするのは初めてでした。プロローグと第1ステージのコースはロンドン市内で行われ、2005年7月7日に発生したロンドン同時爆破事件の犠牲者を追悼する意味も込められていました。

コース全体は、ベルギーを経由し、時計回りにフランスを巡るルートでした。一部ステージでは、パリ〜ルーベのコースも使用され、後半には個人タイムトライアルが2回、山岳ステージが6回設定されるなど、多様な地形が選手たちを待ち受けていました。参加チームは、UCIプロツアーチームに加え、主催者推薦枠のチームも参加し、激しい戦いが繰り広げられました。

衝撃！ドーピング問題が大会を襲う

大会は、前年のドーピング問題の影響を強く受けていました。そのため、事前のメディカルチェックではすべての選手がドーピング検査に合格したことを確認した上でスタートしましたが、大会期間中に複数の選手がドーピングに関連する問題で失格となりました。

まず、第13ステージと第15ステージで優勝し、総合優勝争いをリードしていたアレクサンドル・ヴィノクロフが血液ドーピングの疑いで所属チームからレースを棄権させられました。さらに、クリスティアン・モレーニもドーピング検査で陽性反応が出たため、所属チームと共にレースから姿を消しました。

そして、大会最大の衝撃が待ち受けていました。総合優勝をほぼ手中に収めていたミカエル・ラスムッセンがドーピング検査回避の疑いで、マイヨ・ジョーヌを着ていた第17ステージで所属チームから解雇され、レースを撤退したのです。

これら以外にも、レース期間中や終了後もドーピング問題が発覚し続けました。総合17位で完走したイバン・マヨからもエリスロポエチンの陽性反応が検出されました。また、レース終了後には、総合優勝者であるアルベルト・コンタドールが過去にドーピングに関与していたことを示唆する報道もありましたが、決定的な証拠は見つかりませんでした。

ドーピング問題とUCI、ASOの対立

これらのドーピング問題は、国際自転車競技連合（UCI）とツール・ド・フランス主催者であるASO（アマチュア・スポーツ機構）間の主導権争いの側面も指摘されています。解説者からは、UCIのプロツアー運営をめぐる対立が、ドーピング問題を招いているのではないかという意見も出されました。ASO側は、UCIの反ドーピング運動に対する姿勢を強く批判しました。

ドーピング問題の連鎖は続く

この問題の深刻さを示すように、翌2008年のツール・ド・フランスでも、CERAという新たなドーピング薬物の陽性反応が相次いで発見されました。サウニエル・ドゥバル＝スコットチームは選手全員がレースから撤退するという事態にまで発展しました。

大会結果

数々のドーピング問題に揺れながらも、2007年のツール・ド・フランスは完走しました。最終的な総合成績、ポイント賞、山岳賞、新人賞、チーム成績、UCIプロツアーランキングなどは、大会公式記録を参照ください。

この大会は、自転車ロードレースにおけるドーピング問題の深刻さを改めて浮き彫りにし、スポーツ界全体の課題を突きつけました。この問題に対する取り組みは、今もなお、継続して行われています。

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