ツール・ド・フランス2011

ツール・ド・フランス2011：激闘と波乱の98回大会

ツール・ド・フランス2011は、記念すべき98回目の開催を迎え、2011年7月2日から24日まで、フランス全土を舞台に繰り広げられました。しかし、この大会は数々の落車事故に見舞われ、多くの有力選手がリタイアを余儀なくされる波乱の展開となりました。

コース概要

ヴァンデ県からのグランデパールで幕を開けた今大会は、パンチャー有利な上りゴールや、チームタイムトライアルの復活など、変化に富んだコース設定が特徴でした。ピレネー山脈、アルプス山脈といった難関山岳ステージに加え、個人タイムトライアルも組み込まれ、総合優勝争いは最後まで予断を許さない展開となりました。

山岳ステージ

特に注目されたのは、ピレネー山脈の超級山岳プラトー・ド・ベイユへの頂上ゴールを含む山岳ステージです。平均勾配7.9%、登坂距離15.8kmという厳しいコースは、「ピレネーのクイーンステージ」と呼ぶにふさわしい難易度を誇りました。また、アルプス山脈では、超級アニェル峠、超級イゾアール峠を経て、超級ガリビエ峠山頂にフィニッシュするコースが設定され、アルプス100周年を記念するにふさわしい、過酷なレイアウトとなりました。

選手たちの動向

総合優勝争い

事前の予想では、前年のジロ・デ・イタリアで圧倒的な力を見せたアルベルト・コンタドールが優勝候補の筆頭と目されていました。しかし、ジロの疲労の影響や落車による膝の負傷などから、本来の力を発揮できませんでした。対抗馬としては、アンディ・シュレク、フランク・シュレク兄弟、イヴァン・バッソ、カデル・エヴァンスなど、多くの有力選手が名を連ね、激しい総合優勝争いが期待されました。

ポイント賞争い

ポイント賞のシステムが変更され、中間スプリントのポイント配分が見直されたことで、より多くの選手にチャンスが広がるようになりました。マーク・カヴェンディッシュが本命視される一方で、アレッサンドロ・ペタッキ、タイラー・ファーラー、トル・フースホフトなど、実力派スプリンターたちがマイヨ・ヴェールを巡って激しいバトルを繰り広げました。

その他の注目選手

チーム・レディオシャックは、クリス・ホーナー、ヤネス・ブライコヴィッチ、アンドレアス・クレーデン、リーヴァイ・ライプハイマーなど、実力のあるオールラウンダーを揃え、総合優勝を狙いました。また、フィリップ・ジルベールは、得意の上りスプリントで序盤から活躍を見せました。

レースレビュー

2011年のツールは、落車事故が相次ぎ、多くの選手がリタイアを余儀なくされるという、非常に厳しい大会となりました。そんな中、落車を回避し続けたカデル・エヴァンスが、得意のタイムトライアルで逆転勝利を果たし、南半球出身者として初のツール制覇を成し遂げました。アンディ・シュレク、フランク・シュレク兄弟がそれぞれ2位、3位に入り、ツール史上初の兄弟揃っての表彰台登壇となりました。

マイヨ・ヴェールは、マーク・カヴェンディッシュが獲得。山岳賞はサムエル・サンチェス、新人賞はピエール・ロランがそれぞれ獲得しました。また、ジェレミ・ロワイがスーパー敢闘賞、ガーミン・サーヴェロがチーム総合時間賞を獲得しました。

まとめ

ツール・ド・フランス2011は、数々のドラマと波乱に満ちた大会となりました。落車によるリタイア、カデル・エヴァンスの歴史的勝利、シュレク兄弟の表彰台独占など、記憶に残るシーンが多く生まれました。この大会は、ツール・ド・フランスの歴史に深く刻まれることでしょう。

もう一度検索