ツ11 (エンジン)

ツ11とは

ツ11は、1945年に日本で生産されたモータージェットエンジンで、特攻兵器の桜花二二型に搭載するために開発されました。このエンジンは特に第二次世界大戦末期における日本の航空戦力の確保を目的としており、推力は220 kgに達します。

開発の背景

ツ11の開発は、桜花一一型の航続距離を延ばすための取り組みとして始まりました。桜花一一型は固体燃料を使用したロケット機で、その加速性能はすぐれていたものの、燃料が短期間で消費されてしまうため、全体としての航続距離は非常に限られていました。これにより、桜花の母機である一式陸上攻撃機は敵目標の近くまで危険を冒して接近しなければならず、戦闘機の攻撃を受けるリスクが高まっていました。

この問題を解決するために、ツ11が考案されました。モータージェットを搭載することで、桜花は速度と航続距離を確保できると期待されました。これにより、母機はより安全な位置から桜花を発射できる可能性が高まりました。

ツ11の基本構造

ツ11は瓦斯電（日立航空機）製の4シリンダー空冷直列型レシプロエンジン初風（ハ47またはハ11とも呼ばれる）を圧縮機駆動用に使用しています。また、単段の圧縮機が搭載され、燃料噴射と点火装置がその後に設置されるという構造です。このシステムによって、圧縮された空気が燃料と混合され、燃焼によるジェット噴射が実現される仕組みです。この基本的な設計は、イタリアで開発されたカプロニ・カンピニ N.1 に似ています。

テストと成果

試作機は1944年に銀河の機体下部に取り付けられてテストされ、その結果は良好でした。これを受けて桜花一一型の機体後部を延長し、ツ11を搭載可能とした桜花二二型が開発されました。また、ツ11は秋水の訓練用グライダーである秋花への搭載も計画されており、ターボジェットエンジンの開発が進んでいなかった時期に橘花のエンジン候補にもなりました。

しかし、桜花二二型は試作機が完成したのみで、実戦には至らず、日本の敗戦を迎えました。現在、2007年時点で唯一現存する桜花二二型はワシントンD.C.の国立航空宇宙博物館に収蔵されています。

エンジンの性能

1997年のレストアの際にエンジンの性能が専門家によって分析され、ツ11の燃焼ガスによる推力は比較的少なく、推力の大部分が圧縮機の生じる圧力差によって得られている可能性が示唆されました。このことから、ツ11はアフターバーナーを装備したダクテッドファンエンジンに類似した性質を持っていたと考えられています。

まとめ

ツ11は日本の航空機技術の一環として重要な役割を果たしました。特に桜花二二型への搭載が期待され、戦争の激化に伴う航空戦力の強化を図る上で注目された存在でした。

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