テルル

テルル（Tellurium）

テルル（元素記号: Te、原子番号: 52）は、周期表の第16族に属する重要な元素です。この元素の名前はラテン語の「Tellus」に由来し、これは「地球」を意味します。また、西洋の神話において、地球の女神テルースに関連していることも興味深いです。

性質

テルルには、金属テルルと無定形テルルの2種類が存在します。金属テルルは銀白色の結晶で、半[[金属]]的な性質を持ち、六方晶構造を取っています。この元素は、自然界では主にいくつかのテルル化合物として見られますが、その中には特有のにんにくのような臭いを持つものもあります。ただし、テルル自体は無臭です。

金属テルルの物理的特性としては、比重が6.232、融点が449.51 °C、沸点が988 °Cです。酸化力を持つ酸には溶けやすく、ハロゲン元素とは強い反応を示します。テルルは、-2、+2、+4、+6の酸化数を持つことがあり、その化学的性質はセレンや硫黄に似ています。燃焼すると二酸化テルルを生成します。この元素は、天然に存在する鉱物中にわずかに含まれています。

毒性

テルルの環境中の存在量は非常に少ないですが、単体やその化合物は毒性を持つことが知られています。特に、テルル化合物が体内に取り込まれると、様々な健康障害を引き起こすことがあります。例として、二酸化テルルは水に溶けにくいものの、強酸や強アルカリには不安定です。体内での代謝により、ジメチルテルリドが生成されることがあり、これが呼気に特有のにんにくのような香りをもたらします。

一次的な影響としては、口渇、眠気、食欲不振、悪心、発汗停止、頭痛、呼吸困難、皮膚炎、そして青黒い斑点などが現れます。これらの症状は主に鉱山労働者の間で報告されており、曝露を避けることで改善することが多いです。また、長期的な暴露により臓器の異常や催奇性が観察されています。

歴史

テルルは1782年にF.J.ミュラーによって単体として分離され、その後1798年にクラプロートにより名前が与えられました。

産出

地殻中におけるテルルの存在は非常に少なく、精錬量も軽微です。天然では火山活動や温泉近くの鉱脈で発見されることがありますが、主に銅の精錬に伴って得られます。そのため、テルル単独での採掘は行われておらず、現在の銅精錬方法の影響により生産量は減少傾向にあります。

用途

テルルは、鉄鋼業界で添加することで快削性や耐食性を高めるために使用されます。ゴムの添加剤や触媒としても利用され、ガラスの着色剤としても重宝されています。ビスマスとの合金は熱電変換素子やペルティエ素子に使用されています。

さらに、少量のテルルを含む鉛はその耐食性と強度を向上させるために使われています。赤外線検出材としてのテルル化鉛やテルル化スズの固溶体も存在し、無重力下での製造が期待されています。

埋蔵量と分布

日本国内では、テルル鉱物として北海道の手稲鉱山や静岡県河津鉱山が知られています。これらの地点には自然テルルやその化合物が含まれています。テルルに関連した鉱物や化合物はさらに発見され続けており、この元素の特性や用途についての研究は今後とも進められるでしょう。

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