テンニング包囲戦

テンニング包囲戦：二度の大北方戦争の激戦

テンニング包囲戦は、18世紀初頭の大北方戦争中に、シュレースヴィヒ公国のテンニング要塞を舞台に繰り広げられた二度の包囲戦です。この戦いは、当時のヨーロッパ列強の複雑な同盟関係と、領土を巡る激しい争いを象徴しています。

第一次包囲戦（1700年）

大北方戦争の幕開けとなる初期の戦いの一つが、1700年に行われた第一次テンニング包囲戦です。デンマーク＝ノルウェー、ザクセン＝ポーランド＝リトアニア連合、そしてロシア・ツァーリ国は、スウェーデン帝国に対して三方面からの同時侵攻を計画しました。この戦略の一環として、デンマーク軍はスウェーデンの同盟国であり、かつスウェーデンと血縁関係の深いシュレースヴィヒ＝ホルシュタインへ進軍し、1700年3月にテンニング要塞を包囲しました。

しかし、スウェーデン王カール12世は、この状況を打破すべく大胆な行動に出ます。イングランドとオランダの海軍の支援を得て、奇襲作戦を実行し、デンマークの首都コペンハーゲンに軍を差し向けたのです。この予想外の事態に直面したデンマーク王フレデリク4世は、1700年8月17日にトラヴェンタール条約を締結し、戦争から離脱せざるを得なくなりました。デンマークが再び戦いに加わるのは、スウェーデン軍が1709年のポルタヴァの戦いで大敗を喫した後となります。

第二次包囲戦（1713年-1714年）

1713年初頭、スウェーデン軍とホルシュタイン＝ゴットルプ家の軍勢は、テンニング付近の孤立した地域でロシア、ザクセン、ポーランドの連合軍に包囲されました。このスウェーデン軍は、ストラルスンドから脱出したマグヌス・ステンボック将軍率いる約1万6千人の残存兵力でした。ステンボックはストラルスンド脱出後、ガーデブッシュの戦いでデンマーク軍に勝利し、ホルシュタインまで追撃していました。

デンマークの同盟国であるロシア、ザクセン、ポーランドは、約3万6千人の大軍を派遣してステンボック軍を追撃しました。1713年2月、幼いシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン＝ゴットルプ公カール・フリードリヒは中立を破り、ステンボックを保護するためにテンニング要塞に援軍を送りました。これは1700年の第一次包囲戦のような展開（イングランドとオランダの支援とデンマークの脱落）を期待してのことでしたが、英蘭両国は今回は動かず、ステンボック軍は補給不足に陥りました。さらに、食糧不足と病人の増加（2,800人に達する）により、ステンボックは1713年5月16日に降伏を決断しました。

しかし、テンニング要塞のホルシュタイン駐留軍1,600人は包囲に耐え続けました。彼らが降伏したのは、1714年2月7日のことでした。デンマーク軍は、1713年3月13日に発せられた王令に従い、ホルシュタイン＝ゴットルプの完全支配を目指し、1715年に最後まで抵抗したホルシュタイン軍を捕虜にしたことで、この目標を達成しました。テンニング降伏後、その防御施設と宮殿は破壊され、再建されたのは1735年まで待つことになります。

戦いの影響とその後

カール・フリードリヒがステンボックを保護し、最終的に降伏を決定するに至った背景には、彼の宮廷にいた外交官ゲオルク・ハインリヒ・フォン・ゲルツ男爵の影響が大きかったとされています。また、ロシアのアレクサンドル・メーンシコフは、本国のピョートル1世から最も多くの兵士を提供したため、最も広大な領土を確保すべきという命令を受けていましたが、最終的には領土の分割は平等に行われました。この命令不服従を理由に、メーンシコフがゲルツから賄賂を受け取っていたという噂も流れました。

テンニング包囲戦は、大北方戦争における重要な戦いの一つであり、その後のヨーロッパの勢力均衡に影響を与えました。特に、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公国の運命を大きく左右する出来事であり、この地域の複雑な政治情勢を象徴する出来事となりました。

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