マグヌス・ステンボック

マグヌス・グスタフソン・ステンボック伯爵は、1665年にストックホルムで生まれ、スウェーデンの貴族であり、最終階級は元帥にまで上り詰めた軍人です。父はスウェーデン海軍提督のグスタフ・オットー・ステンボック伯爵、母はフランス系でヴァーサ家の血を引くともされるクリスティーナ・デ・ラ・ガルディです。

彼はウプサラ大学とパリで教育を受けた後、軍人の道を選びました。オランダ軍でキャリアを積んだ後、1688年にスウェーデン陸軍に入り少佐に昇進。大同盟戦争ではネーデルラントとライン川戦線で活躍し、フルーリュスの戦いでその頭角を現しました。

大北方戦争が勃発すると、ダーラナ連隊長としてナルヴァの戦いで戦功を挙げ、リガ、クリシュフ、クラクフの戦いでも活躍、1703年にはプウツクの戦いで勝利しました。1706年には将軍に任命され、ヘルシンボリでの大勝でスコーネ総督にも任命されるなど、カール12世からの信頼も厚く、その軍事的な才能は高く評価されていました。逸話として、彼が泥酔していても、冷静な部下よりも優れた命令を下すことができたという話が残っています。

ステンボックは、若い頃からオランダ軍や神聖ローマ帝国軍で経験を積み、スウェーデン陸軍でも着実に昇進を重ね、大北方戦争ではカール12世の軍事的側近として活躍しました。特に、クラクフ要塞の守備隊長として、ポーランド・リトアニア共和国の支配を任されたことは、彼の力量を物語っています。彼はポーランド人のゲリラ攻撃に苦しみながらも、その統治を成功させました。1707年にはスウェーデン最大の軍人と称されたカール・グスタフ・レーンスケルドの後任として、スコーネの総督に任命されました。

1709年のポルタヴァの戦いでスウェーデン軍が壊滅的な敗北を喫すると、ステンボックは厳しい立場に追い込まれます。カール12世はオスマン帝国へ亡命し、デンマークはスウェーデンに宣戦布告。彼はスコーネ防衛の責任者として、わずかな軍勢でデンマーク軍を迎え撃つという重責を担うことになりました。1710年、ヘルシンボリの戦いでデンマーク軍を打ち破ることに成功し、スウェーデン本土を守り抜きました。この勝利により、デンマークはスコーネへの侵攻を諦め、大北方戦争において守勢に回ることとなりました。

しかし、ヨーロッパ大陸ではスウェーデン軍が敗戦を重ねており、ステンボックは彼らを救うためにバルト海を渡ります。彼はポーランドと休戦条約を結び、ドイツへと進軍し、1712年のガーデブッシュの戦いでデンマーク・ザクセン連合軍に勝利を収めました。この戦功により、カール12世から陸軍元帥の地位を与えられ、大北方戦争における名将としての地位を不動のものとしました。

しかし、その後の彼は、自らの慢心と状況の変化によって徐々に追い詰められていきます。1712年、彼はデンマーク領のドイツ都市を焼き討ちしたことで全ドイツを敵に回し、孤立を深めます。本国からの支援もなく、補給も途絶え、1713年のテンニング包囲戦で降伏し、コペンハーゲンで捕虜生活を送ることになりました。1717年、捕虜のままコペンハーゲンで生涯を終えました。

ステンボックは、大北方戦争においてカール12世に次ぐ名将として、数々の勝利を収めましたが、晩年は不遇の内に生涯を閉じることとなりました。

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