テンプル教会

ロンドンのテンプル教会：歴史と神秘に彩られた円形教会堂

ロンドン中心部、フリート通りとテムズ川に近い場所に位置するテンプル教会は、イングランド国教会に属する歴史的建造物です。その名の通り、かつてテンプル騎士団のイングランド本部として使用され、現在もイギリスの法曹院であるインナー・テンプルとミドル・テンプルがその建物を利用しています。

創建からテンプル騎士団の終焉まで

12世紀後半、テンプル騎士団は彼らのイングランド本部としてこの教会を建設しました。円形教会という独特の建築様式と、教会内に安置された中世騎士の肖像墓は、テンプル教会を象徴する特徴となっています。しかし、1307年、テンプル騎士団は廃止され、教会はイングランド王エドワード2世の管理下に置かれました。

法曹院との関わりと幾度かの変遷

その後、聖ヨハネ騎士団が教会を借りて弁護士の法学校を運営するようになり、これが現在のインナー・テンプルとミドル・テンプルの起源となりました。ヘンリー8世による聖ヨハネ騎士団の廃止（1540年）を経て、教会は再び王室の所有となりました。1608年、ジェームズ1世との合意により、2つの法曹院は教会の維持管理を条件に、礼拝堂としてテンプル教会を永続的に使用できる権利を得ました。

ロンドン大火と修復

1666年のロンドン大火では奇跡的に被害を免れたものの、建築家クリストファー・レンによる改修が行われ、祭壇上スクリーンの追加やオルガンの設置などが行われました。その後も、1841年と1862年に大規模な修復工事が実施され、ヴィクトリアン・ゴシック様式の壁や天井が追加されました。

第二次世界大戦と大規模な修復

第二次世界大戦中の1941年、ドイツ空軍の空爆により、テンプル教会は甚大な被害を受けました。木造部分やオルガンが破壊され、内陣の大理石円柱も高熱で砕け散るなど、ヴィクトリア朝期の修復部分も含め大きな損害を受けました。しかし、その後大規模な修復工事が行われ、現在では多くの部分が復元されています。円柱など一部には当時の破片が残されている一方で、多くの部分は複製などに置き換えられています。

現代におけるテンプル教会

現在、テンプル教会は歴史的建造物として保存され、一般公開されています。その独特の建築様式、中世騎士の墓、そして数々の歴史的出来事を経てきた歴史は、多くの観光客を魅了しています。2003年に出版されたダン・ブラウンの小説『ダ・ヴィンチ・コード』とその映画化作品にも登場し、さらにその知名度を高めました。テンプル教会は、歴史と神秘が織りなすロンドンの重要な観光スポットとして、人々を惹きつけてやみません。その荘厳な雰囲気と歴史的価値は、訪れる者すべてに忘れがたい印象を与えることでしょう。

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