テンプル準男爵

テンプル準男爵家：四つの爵位の歴史

テンプル準男爵は、イギリスに存在する準男爵位であり、テンプル家には4つの準男爵位が授けられました。その内訳は、イングランド準男爵が2つ、ノヴァスコシア準男爵が1つ、そして連合王国準男爵が1つです。ここでは、それぞれの準男爵位の歴史と、各家系の詳細について解説します。

ストーのテンプル準男爵 (1611年)

バッキンガム州ストーのテンプル準男爵は、1611年9月24日にアンドーバー選挙区選出の庶民院議員であった地主、トマス・テンプルが叙位されたことに始まります。彼はイングランド貴族の準男爵でした。

その曾孫である4代準男爵リチャードは、陸軍元帥にまで昇進し、四国同盟戦争などで指揮を執りました。彼は1714年10月19日にコバム男爵、1718年5月23日にコバム子爵に叙位されています。これらの爵位はグレートブリテン貴族に属します。リチャードには子供がいなかったため、これらの爵位には妹を特別継承者とする規定が設けられました。そのため、リチャードの死後、コバム子爵位とコバム男爵位は妹に継承された一方で、5代準男爵位は初代準男爵に遡った男系分流のウィリアムが継承しました。

5代準男爵の死後、弟のピーターが6代準男爵を、さらにその息子のリチャードが7代準男爵を継承しましたが、彼にも子供がいなかったため、彼の死とともに準男爵位は休止状態となりました。その後、外交官ジョン・テンプルが親族の初代バッキンガム侯爵ジョージ・ニュージェント＝テンプル＝グレンヴィルの支持を得て準男爵位を請求しましたが、男系子孫であることの証明ができず、認められていません。また、彼以外にも男系子孫が生き残っている可能性があり、そのため休止という扱いになっています。

初代準男爵：サー・トマス・テンプル (1567–1637)
2代準男爵：サー・ピーター・テンプル (1592–1653)
3代準男爵：サー・リチャード・テンプル (1634–1697)
4代準男爵：サー・リチャード・テンプル (1675-1749) - 1714年にコバム男爵、1718年にコバム子爵に叙位
5代準男爵：サー・ウィリアム・テンプル (1694–1760)
6代準男爵：サー・ピーター・テンプル (-1761)
7代準男爵：サー・リチャード・テンプル (1731–1786) - 彼の死後、休止

テンプル準男爵 (1662年)

この準男爵位は、上記のストーのテンプル準男爵の初代準男爵トマスの次男ジョン・テンプルの次男であり、ノヴァスコシア総督を務めたトマス・テンプルが1662年7月7日にノヴァスコシア準男爵として叙位されたことに始まります。しかし、彼には子供がいなかったため、一代で廃絶しました。

初代準男爵：サー・トマス・テンプル (1614–1674)

シーンのテンプル準男爵 (1666年)

サリー州シーンのテンプル準男爵は、上記のストーのテンプル準男爵の初代準男爵トマスの父ジョンの兄弟アンソニーの曽孫であり、外交官・庶民院議員のウィリアム・テンプルが、1665/66年1月31日にイングランド準男爵位として叙位されたことに始まります。しかし、彼も死去時に生存している男子がいなかったため、一代で廃絶しました。なお、彼の甥にあたるヘンリー・テンプルはアイルランド貴族爵位パーマストン子爵に叙位されています。

初代準男爵：サー・ウィリアム・テンプル (1628–1699)

ザ・ナッシュのテンプル準男爵 (1876年)

ウスター州ケンプシーのザ・ナッシュのテンプル準男爵は、植民地インドの行政官で保守党所属の庶民院議員だったリチャード・テンプルが1876年8月16日に連合王国準男爵として叙位されたことに始まります。彼は上記のストーのテンプル準男爵の第5代準男爵サー・ウィリアム・テンプルの娘ヘンリエッタの曽孫にあたります。この準男爵位は、現在まで存続している唯一のテンプル準男爵です。

初代準男爵：サー・リチャード・テンプル (1826–1902)
2代準男爵：サー・リチャード・カーナック・テンプル (1850–1931)
3代準男爵：サー・リチャード・デュランド・テンプル (1880–1962)
4代準男爵：サー・リチャード・アンソニー・パーベック・テンプル (1913–2007)
5代準男爵：サー・リチャード・シャルティエ・カーナック・テンプル (1937-)
推定相続人: アンソニー・セント・ジョージ・テンプル (1941-)、現当主の弟
法定推定相続人: ニコラス・クリストファー・リー・テンプル (1986-)、アンソニーの息子

このように、テンプル家には複数の準男爵位が存在しましたが、現在まで存続しているのはザ・ナッシュのテンプル準男爵のみとなっています。各家系の歴史は、イギリスの貴族制度や社会情勢を反映しており、興味深い研究対象となっています。

参考文献

Heathcote, Tony (1999). The British Field Marshals, 1736–1997: A Biographical Dictionary. Barnsley: Leo Cooper. ISBN 0-85052-696-5

関連項目

コバム子爵
* パーマストン子爵

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