コバム子爵

コバム子爵：イギリス貴族の歴史と変遷

コバム子爵は、1718年にリチャード・テンプルによって創設されたグレートブリテン貴族の爵位です。この爵位の特筆すべき点は、男子相続人がいない場合に備え、リチャード・テンプルの妹であるヘスターとクリスティアンに継承権が認められたことです。

グレンヴィル家からリトルトン家へ

初代子爵の死後、ヘスターの家系であるグレンヴィル家が爵位を継承し、一時はバッキンガム＝シャンドス公爵というさらに上位の爵位を得るまでに至りました。しかし、グレンヴィル家の後継者が絶えたため、クリスティアンの家系であるリトルトン家がコバム子爵位を継承し、現在に至っています。リトルトン家にとって、コバム子爵位は家系内で最も上位の爵位となっています。

コバム子爵の歴史

初代コバム子爵リチャード・テンプルは、軍人としても活躍し、スペイン継承戦争や四カ国同盟戦争で功績を挙げました。これらの功績が認められ、1718年にコバム子爵とコバム男爵に叙せられました。彼には子供がいなかったため、妹への特別継承権が認められたのです。

2代コバム女子爵となったヘスターは、後にテンプル女伯爵にも叙せられます。彼女の長男リチャード・グレンヴィル＝テンプルが爵位を継承しますが、彼にも男子がいませんでした。一方、ヘスターの次男ジョージ・グレンヴィルは政治家として名を馳せ、首相も務めました。ジョージの息子であるジョージ・ニュージェント＝テンプル＝グレンヴィルは、バッキンガム侯爵に叙せられ、さらにニュージェント伯爵位も継承しました。

その後、リチャード・テンプル＝ニュージェント＝ブリッジス＝シャンドス＝グレンヴィルがバッキンガム＝シャンドス公爵に叙せられ、一族の地位は頂点を極めます。しかし、3代公爵リチャード・プランタジネット・キャンベル・テンプル＝ニュージェント＝ブリッジス＝シャンドス＝グレンヴィルの死後、公爵位は断絶し、コバム子爵位はリトルトン家へと移りました。

リトルトン家によるコバム子爵の継承

リトルトン家は、コバム子爵位を継承する以前からリトルトン男爵位、ウェストコート男爵位、そして準男爵位を保持していました。10代コバム子爵チャールズ・リトルトンは、ニュージーランド総督を務めたことでも知られています。

現在の当主は12代コバム子爵クリストファー・リトルトンであり、以下の爵位と準男爵位を保持しています。

第12代コバム子爵
第12代コバム男爵
第9代ウェストコート男爵
第9代リトルトン男爵
第15代リトルトン準男爵

コバム子爵家の家訓は「一人の神、一人の王（Ung Dieu, Ung Roy）」であり、本邸はウェスト・ミッドランズのハグレイ・ホールです。

コバム子爵位の変遷

コバム子爵位は、テンプル準男爵家から始まり、グレンヴィル家、そしてリトルトン家へと受け継がれてきました。その過程で、バッキンガム公爵家という更なる高みを目指した時期もありましたが、最終的にはリトルトン家が爵位を維持し、現在に至っています。

この爵位の歴史は、イギリス貴族社会における家系の盛衰、爵位の継承、そして政治との関わりを物語る貴重な事例と言えるでしょう。

関連項目

バッキンガム公爵
シャンドス公爵
テンプル伯爵
ストーのテンプル伯爵
キンロス卿
グレンヴィル男爵
ニュージェント伯爵
パーマストン子爵
リトルトン男爵
シャンドス子爵
テンプル準男爵
コバム男爵

外部リンク

ハグレイ・ホール 公式サイト（英語）

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