テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド

テ・ワヒポウナム-南西ニュージーランド：自然が織りなす絶景と固有の生態系

テ・ワヒポウナムは、ニュージーランド南西部に位置するユネスコの世界自然遺産です。その名はマオリ語で「グリーンストーン（翡翠）の産地」を意味し、広大な自然の中で独特の景観と生態系を育んでいます。

雄大な自然景観

テ・ワヒポウナムの景観は、氷河によって削られた山々やフィヨルドが織りなす、まさに壮大そのものです。公園内には、ニュージーランド最高峰のクック山を擁する南アルプス山脈がそびえ立ち、海岸部には1万4千年前の氷河期に形成されたミルフォード・サウンドをはじめとする美しいフィヨルドが点在します。

この地は、U字谷、モレーン、懸谷、カールなど、多様な氷河地形の発達が見られることでも知られています。その厳しい自然環境のため、本格的な調査が始まったのは1960年代に入ってからでした。

固有の動植物相

テ・ワヒポウナムの約3分の2は、ナンキョクブナ属やマキ科の針葉樹が生い茂る温帯雨林に覆われています。樹齢800年を超える巨木や、世界最小の針葉樹であるLepidothamnus laxifoliusなど、貴重な植物が生息しています。

ニュージーランドは、有袋類や他の哺乳類が出現する前にゴンドワナ大陸から分離したため、独自の進化を遂げた固有の動物たちが数多く生息しています。世界で唯一の高山性オウムであるミヤマオウム、飛べない鳥のタカヘやキーウィ、キイロモフアムシクイ、カカ、キガシラアオハシインコ、チャイロコガモなどがその代表例です。また、肉食性のカタツムリが生息していることも、テ・ワヒポウナムの生態系の特異性を示すものです。

かつては世界で最も重いオウムであるフクロウオウムも生息していましたが、現在は南島本土では絶滅し、沖合の離島にのみ生息しています。

保護と課題

テ・ワヒポウナムは、フィヨルドランド国立公園、アオラキ/マウント・クック国立公園|アオラキ_マウント・クック国立公園、ウエストランド国立公園、マウント・アスパイアリング国立公園など、複数の国立公園や自然保護区によって保護されています。

しかし、アカシカ、ワピチ、ダマジカ、ヤギ、シャモア、タール、フクロギツネ、ウサギ、イタチ科、齧歯類などの外来種の侵入は、植生や鳥類の生息に悪影響を及ぼしており、商業狩猟や除去プログラムが実施されています。

世界遺産としての価値

テ・ワヒポウナムは、以下の世界遺産登録基準を満たし、その普遍的な価値が認められています。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。
(9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
(10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。

地域に点在する遺産

フィヨルドランド国立公園
ミルフォード・サウンド
アオラキ/マウント・クック国立公園|アオラキ_マウント・クック国立公園
クック山
タスマン氷河
ウエストランド国立公園
フランツ・ジョセフ氷河
フォックス氷河
マウント・アスパイアリング国立公園
アスパイアリング山

テ・ワヒポウナムは、その雄大な景観と独自の生態系を通じて、地球の自然の驚異を体感できる場所です。しかし、その自然を守るためには、外来種対策をはじめとする様々な課題に取り組む必要があります。未来世代のために、この貴重な自然遺産を保護し、持続可能な形で活用していくことが求められています。

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