テ号観測機

テ号観測機の概要

テ号観測機（てごうかんそくき）は、日本陸軍の指示に基づいて開発された特殊な航空機です。この機体は、大阪大学の三木鉄夫教授が設計し、神戸製鋼が製造を担当しました。1942年、試作機が初飛行を果たしましたが、残念ながら1機だけの試作に終わりました。

開発の背景

陸軍技術本部からの発案により、テ号観測機は砲兵部隊による弾着観測を目的とした兵器として位置付けられました。1940年に開発が指示され、類似の設計であるオートジャイロのカ号観測機と共に並行して進められました。名前の「テ」は低速固定翼機の略称とされ、この機体は陸軍航空本部ではなく、陸軍技術本部によって管理されていました。そのため、「キ」番号は付与されていません。

機体設計

テ号観測機は主に空冷の倒立単発エンジンを動力源としており、使用されたアルグスエンジンは神戸製鋼によって国産化されたものでした。機体形状は高翼単葉で、降着装置などにおいてもドイツのフィーゼラーFi156シュトルヒの影響が見受けられます。短距離からの離着陸性能を重視し、翼の前縁には自動スラット、後縁には特殊なフラップが装備されています。補助翼もフラップとして機能する仕様となっています。また、主翼は木製で羽布を張り、後方へ折りたたむことも可能でした。機体の胴体部分は鋼管で溶接された骨組みを羽布で覆い、前方部は軽金属張りとなっています。

試験飛行と開発の終結

1942年に完成した試作1号機はテスト飛行を行ったものの、飛行中に墜落し、機体は破壊されてしまいました。この事故により、開発は直ちに中止されることとなり、その結果としてカ号観測機のように実用化に成功することはありませんでした。

外観と性能

テ号観測機は、同時期の三式指揮連絡機と比べると、やや小型でありながらフィーゼラーFi156シュトルヒに近い外観を持っていました。そのため、軽量であった本機の設計は、より高い最大速度を見込むことが可能でした。

主要な性能諸元

• - 全幅：16.00 m
• - 全長：9.50 m
• - 主翼面積：20.00 m²
• - 自重：780 kg
• - 全備重量：1,130 kg
• - 最大速度：180 km/h
• - 武装：7.7 mm旋回銃×1
• - 発動機：アルグス As 10C 空冷倒立V型8気筒エンジン（240 hp）
• - 乗員：2名

テ号観測機は、日本陸軍における独自の航空機技術の挑戦を象徴していると言えるでしょう。その軌跡は、航空機開発の歴史の中で重要な一幕を形成しています。

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