カ号観測機

カ号観測機

カ号観測機（かごうかんそくき）は、第二次世界大戦時に日本陸軍が開発した観測機であり、後にオ号観測機に名称が変更されました。この機体は、砲兵の弾着観測や対潜哨戒の任務に使用され、日本において実戦配備された唯一のオートジャイロとなります。設計と製造は萱場製作所（現在のカヤバ）によって行われました。

開発の背景

オートジャイロは1923年にスペインのフアン・デ・ラ・シエルバによって実用化され、1930年代には各国で軍事利用が盛んに行われていました。特にアメリカでは、1931年に艦載用の試作機が開発され、空母での発着艦実験が行われたものの不採用となりました。日本でもこの潮流に乗るべく、陸軍が早期から観測機の導入を進めていました。1932年にはイギリスからシェルヴァ C.19が輸入され、その後アメリカからケレット K-3を導入しましたが、これらは事故によって失われました。

本機の開発

1940年、陸軍航空本部はアメリカ製のケレット KD-1Aの改修機を基にカ号観測機の開発に着手しました。ノモンハン事件の影響で、弾着観測のために気球が撃墜されるという事例があり、弾着観測機の必要性が高まっていたのです。1941年には試作機が初飛行し、評価が良好であったため、国産型の製作が進められました。1942年にカ号一型観測機として正式採用された後、1943年から量産体制が始まります。

性能と仕様

カ号観測機は特有の設計を有し、胴体や尾翼は鋼管骨組に羽布張り、ロッターは3翅で構成されていました。動力は2種類のエンジンが使用され、アルグス エンジンとジャコブス エンジンの2型が存在しました。重量は約1,170kgで、最大巡航速度162km/hとなっています。また、60kgの爆雷を一発搭載することが可能で、対潜哨戒任務にも適していました。

実戦における運用

1943年には、陸軍がカ号を護衛空母に艦載する計画を立てましたが、実際には別のSTOL機に代替されることになりました。カ号はほとんどが対潜哨戒任務へと転用され、観測員席を改修して爆雷を懸吊できるように改良されました。戦局の変化により、主たる任務は中国大陸から対潜哨戒へとシフトし、最終的には日本本土で運用されることに。

この機体は昭和19年に日本本土での対潜哨戒任務に投入されたものの、目視による監視の限界から潜水艦撃沈などの具体的な戦果を挙げるには至りませんでした。最後は、アメリカ軍の艦載機の出現により、運用は制限され、終戦時には約20機が残っていたとされています。

終焉

カ号観測機は、軍用オートジャイロの時代の象徴とも言える存在であり、戦局の変化に伴う技術の進歩と、オートジャイロの運用上の限界を示していました。結果的に、この機体は対潜哨戒機としてはパフォーマンスに限界があり、新たな時代の航空機にその座を譲ることとなったのです。カ号は特異な存在でありながら、実戦での性能が理由で歴史の中に埋もれてしまいました。

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