ディシディア ファイナルファンタジー

『ディシディア ファイナルファンタジー』（DISSIDIA FINAL FANTASY、略称: DFF）は、2008年にスクウェア・エニックスから発売されたPlayStation Portable（PSP）専用のアクションゲームです。野村哲也氏を中心とする開発チームが手掛け、『ファイナルファンタジー』シリーズ（以下『FF』）の20周年を記念して制作されました。本作は、歴代『FF』キャラクターが一堂に会し、1対1で戦うクロスオーバー作品であり、3D空間を縦横無尽に駆け巡るアクションが特徴です。

ゲームの概要

本作は、RPGの要素と対戦アクションゲームの要素を融合させた「プログレッシブアクション」という独自のジャンルを確立しています。キャラクターの成長要素が重視されており、通常の対戦ゲームとは異なり、育成の楽しさを味わえます。タイトル名の「ディシディア」は、ラテン語やギリシア語で「異説」を意味する言葉に由来し、その名の通り、本作の世界観はシリーズとは異なる独自のものとなっています。

物語は、調和の神「コスモス」と混沌の神「カオス」が長年争い続けている異世界が舞台です。両陣営に召喚された歴代『FF』のキャラクターたちが、それぞれの思惑を胸に戦いを繰り広げます。プレイヤーは、コスモス陣営のキャラクターを操作し、カオスを倒すことを目指します。

ゲームシステム

戦闘システムは、『キングダム ハーツ』シリーズの発展型であり、ボタン操作で壁や柱を駆け上がり、360度自由に動き回る空中アクションが可能です。コスモス陣営のキャラクターは比較的扱いやすい操作性である一方、カオス陣営のキャラクターは個性的な操作性が特徴です。各キャラクターは戦闘で経験値を獲得し、レベルを上げることで成長します。また、装備やアビリティを変更することで、キャラクターの能力をカスタマイズできます。

ストーリーモードでは、コスモス陣営のキャラクターごとに異なるシナリオが用意されており、物語性が重視されています。プレイヤーは、チェス盤のようなマップを駒を進めて探索し、敵との戦闘やボス戦をこなしていきます。カオス陣営にはストーリーモードはありませんが、コスモス陣営のストーリー中でその動向が語られます。

バトルシステム

バトルは1対1の対戦形式で行われ、HPをゼロにすることで勝利となります。攻撃には、HPにダメージを与える「HP攻撃」と、ブレイブポイントを奪う「ブレイブ攻撃」の2種類があります。ブレイブポイントは攻撃力に影響し、これを奪い合うことが勝敗の鍵となります。ブレイブポイントを奪い、HP攻撃を当てることが基本的な戦い方です。

さらに、EXフォースやEXコアを集めると「EXゲージ」が溜まり、「EXモード」を発動できます。EXモードでは、キャラクターが変身し、能力が向上したり、強力な必殺技「EXバースト」が使えるようになります。また、召喚獣を召喚することで、戦闘を有利に進めることも可能です。

カスタマイズ要素

キャラクターの育成要素も充実しており、レベルアップ以外にも、装備品やアビリティを自由にカスタマイズできます。アビリティは、戦闘中に得られるアビリティポイント（AP）を貯めてマスターすることで、装備に必要なキャパシティポイント（CP）が軽減されたり、派生アビリティが発生したりします。また、戦闘中に条件を満たすことでアクセサリが生成されたり、ミッションを達成することでレアアイテムが手に入ったりします。キャラクターの外見を変更する「アナザーフォーム」も存在し、やり込み要素の一つとなっています。

通信機能

本作では、PSPのアドホックモードやPlayStation 3（PS3）を介したアドホック・パーティーを利用して、対戦を楽しむことができます。また、フレンドカードを交換することで、他のプレイヤーのゴースト（キャラクターAI）と対戦することも可能です。さらに、アーティファクトと呼ばれるアイテムは、他のプレイヤーとの通信によって稀に入手でき、リネームや特殊効果の変化といった楽しみもあります。

ストーリー

本作の物語は、コスモスがカオスに敗れ、窮地に立たされたところから始まります。コスモスは、クリスタルを集めるよう戦士たちに託し、彼らはクリスタルを求めて旅を始めます。各キャラクターのシナリオは、クリスタルを手に入れるまでが描かれ、オムニバス形式で進行します。すべてのシナリオをクリアすると、カオスとの最終決戦が待つ共通シナリオが解放されます。コスモスの死を乗り越え、戦士たちはカオスを打ち倒し、世界に平和を取り戻します。

開発

本作は、野村哲也氏のアイデアを基に、若手スタッフが中心となって開発されました。開発チームは、歴代『FF』シリーズを全てプレイし直し、原作へのリスペクトを込めて制作に取り組んだそうです。ヘルプメッセージは、歴代キャラクターたちが当時の画像と共に、それぞれの口調で解説するという凝ったものになっています。

音楽は、石元丈晴氏がメインコンポーザーを担当し、過去シリーズの楽曲をアレンジしたものが使用されています。また、カナダのロックバンド「ユア・フェイバリット・エネミーズ」が歌う挿入歌も、本作の世界観を盛り上げています。

販売と評価

本作は、発売週に約50万本を売り上げ、PSPソフトの初動記録で当時3位を記録しました。また、ユーザーレビューでも高い評価を受けています。その後も、口コミによる宣伝効果もあり、多くのファンに愛される作品となりました。

まとめ

『ディシディア ファイナルファンタジー』は、歴代『FF』キャラクターが一堂に会するクロスオーバー作品であり、アクションゲームとしての面白さはもちろんのこと、キャラクター育成やカスタマイズ、ストーリーなど、様々な魅力が詰まった作品です。FFファンはもちろん、アクションゲーム好きにもおすすめできる一作です。

もう一度検索