ディロン・ラウンド

ディロン・ラウンドの概要

ディロン・ラウンド（Dillon Round）は、1960年から1961年に実施された多国間貿易交渉で、関税および貿易に関する一般協定（GATT）の第5回目にあたります。この交渉は、アメリカ合衆国のアイゼンハワー政権のもとで、経済担当国務次官のC・ダグラス・ディロンによって提唱されました。ディロンはその後、民主党のケネディ政権でも財務長官を務めることになりますが、この交渉が始まった当時、彼は共和党の一員として活動していました。

ディロン・ラウンドは、GATTにおいて初めて特定の通称が付けられた多角的貿易交渉でした。本ラウンドには、26の国および地域が参加しました。その主な目的は、工業製品の関税引き下げの合意を形成することでした。しかし、大きな成果には至らず、1961年に終了を迎えます。

特に注目されたのは、1958年に設立された欧州経済共同体（EEC）が絡んだ議論です。当時、EECは自己の対域外関税や共通農業政策に基づく可変輸入課徴金制度についても触れられましたが、この交渉では具体的な合意には至らなかったのが実情です。これは、貿易の自由化を進めるための大きな一歩となるはずが、当時の国際情勢や経済政策の複雑さにより、期待された成果をもたらさなかったことを示しています。

GATT/WTOの歴史を振り返る

ディロン・ラウンドは、多国間貿易交渉の流れの中で重要な位置を占めています。その翌年には、ケネディ・ラウンドが開始され、1964年から1967年の間に行われます。GATTのこれまでの交渉は、業種を問わず多くの国による経済的な協力の象徴でもあり、国際貿易の枠組みを固める基盤を築くものでした。

1. 第1回（1947年、ジュネーヴ） - GATT成立
2. 第2回（1949年、アヌシー）
3. 第3回（1951年、トーキー）
4. 第4回（1956年、ジュネーヴ）
5. 第5回 ディロン・ラウンド（1960年-1961年）
6. 第6回 ケネディ・ラウンド（1964年-1967年）
7. 第7回 東京ラウンド（1973年-1979年）
8. 第8回 ウルグアイ・ラウンド（1986年-1995年） - WTO成立
9. 第9回 ドーハ開発ラウンド（2001年-）

ディロン・ラウンドの後、国際貿易に関する交渉はさらなる深化を迎え、取引条件の改善を目指す動きが引き続き重要視されるようになりました。国際経済の相互依存が進む中、各国の協力を得た貿易政策は、今後の発展に不可欠な要素として形作られているのです。

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