ディーン・ラディン

ディーン・ラディン（Dean Radin, 1952年2月29日生まれ）は、アメリカ合衆国の著名な超心理学研究者です。彼はカリフォルニア州ペタルーマに拠点を置くInstitute of Noetic Sciences（IONS）において、2001年より研究主任という要職を務めています。また、アメリカ超心理学会の元会長でもあり、学術誌Explore: The Journal of Science & Healingの共同編集長も務めるなど、多岐にわたる活動を展開しています。

ラディンの研究活動は、超常現象に対する懐疑的な立場を取る科学者や哲学者から批判を受けることも少なくありません。彼の最初の著作である『The Conscious Universe（意識の宇宙）』に対する書評が学術誌『ネイチャー』に掲載された際、統計的な誤りや、超心理学的なデータに対する妥当な非超常的な説明を無視している点などが指摘されました。

初期の経歴

ラディンは、学術研究に入る前、5年間プロのヴァイオリニストとして音楽の世界で活動していました。その後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で電気工学の学士号を取得。さらに、マサチューセッツ大学アマースト校に進学し、電気工学と教育心理学で博士号を取得しました。博士号取得後は、ベル研究所に勤務した後、プリンストン大学やエディンバラ大学など、名だたる研究機関で研究者としてのキャリアを積みました。

超心理学への貢献

ラディンは、1988年、1993年、1998年、2005年の4度にわたり超心理学会長に選出されています。彼は、超心理学に関する多数の論文を発表し、超常現象を支持する研究成果を広く公開してきました。また、一般読者向けに『The Conscious Universe』や『量子の宇宙でからみあう心たち』といった著作も発表しています。

ラディン自身は、超心理学を他の科学分野と同様に再現性のあるものと考えています。しかし、社会学者のエリック・グッドは、超心理学の研究は再現が難しく、その理解も完全ではないと指摘しています。

ラディンによる超常現象に関する主張は、懐疑的な科学コミュニティからは厳しい批判を受けています。一部の研究者は、彼の研究を疑似科学であるとみなし、自然科学に対する誤解があると指摘しています。物理学者のロバート・L・パークは、長年にわたって膨大なデータが収集されてきたにもかかわらず、その結果は実験開始時よりも説得力を失っていると述べています。

ラディンは、超常現象の研究は他の科学分野と同等の水準を維持していると主張していますが、心理学者のレイ・ハイマンは、多く超心理学者が一貫性や再現性、科学的な基準を満たしていないことを認めていると述べています。

心理学者のデイビッド・B・ウィルソンとウィリアム・R・シェイディッシュは、学術誌Psychological Bulletinにおいて、人間の精神が乱数生成装置に超自然的な影響を与えるというラディンらの主張を批判しました。また、ラディンは超常現象を量子力学を用いて説明しようと試みていますが、そのようなアプローチは、特定の量子力学の解釈を疑似科学とみなす物理学者から批判されています。

主な著作

* 竹内薫監修、石川幹人訳 『量子の宇宙でからみあう心たち』徳間書店〈超知ライブラリー〉、2007年。ISBN 978-4-19-862379-1。

もう一度検索