ディーヴァ (プロレス)

ディーヴァ（DIVA）とは

ディーヴァ（DIVA）は、かつてアメリカのプロレス団体WWE（World Wrestling Entertainment）で使用されていた女性プロレスラーの総称です。直訳すると「歌姫」という意味で、これはWWEディーヴァの一人であったリリアン・ガルシアが試合前にアメリカ国歌を斉唱していたことに由来します。日本では、試合に介入する女性セコンドの意味で使用されることがあります。

歴史

アメリカのプロレス史において、女子プロレスは男子プロレスの添え物という位置づけが長く、区別するための呼称として「ディーヴァ」が用いられました。当初はマネージャー役として試合に出場しない女性を指していましたが、次第に試合を行う女性プロレスラーもディーヴァと呼ばれるようになりました。2008年には、WWE女子王座に並ぶ形でWWEディーヴァズ王座が新設されました。

ディーヴァは、アングル上、男子レスラーとの恋人や夫婦といった関係性を持つことが多く、男女間のストーリーを盛り上げる上で欠かせない存在でした。しかし、2015年8月にステファニー・マクマホンがNXT（WWEの下部組織）の選手を昇格させると同時に「ディーヴァ革命」を宣言しました。これにより、ASUKA（現：アスカ）やベッキー・リンチ、サーシャ・バンクスなど、日本マット界の経験者や日本のプロレスに憧れる選手が増加し、元UFC世界王者であるロンダ・ラウジーが登場するなど、選手や試合のレベルが向上しました。

ディーヴァ革命以降、ステファニー・マクマホンは「近い将来、女子の選手数が男子の選手数と同じくらいになってもいい」と発言しています。2016年にはWWEディーヴァズ王座がWWE女子王座に統合され、ディーヴァという名称は自然消滅しました。以降、女子レスラーは男子レスラーと同様に「スーパースター」と呼ばれるようになり、2021年にはディーヴァという言葉自体がWWEで使用できなくなったとされています。

試合

WWEでは、ディーヴァ同士の試合が組まれるだけでなく、マネージャーとして帯同していたディーヴァが、男子スーパースター同士の試合に巻き込まれることもありました。初期のディーヴァには、トリー・ウィルソンやステイシー・キーブラーのようにモデル出身者が多かったため、セクシーさを売りにした試合が多く組まれました。しかし、「ディーヴァ革命」以降は、レスリングや総合格闘技などの格闘技経験を持つ選手が増加し、高度なスキルを駆使した試合や、ヘル・イン・ア・セルなどの過酷な試合形式も行われるようになりました。

セクシーさ

ディーヴァには、レスリングの技術だけでなく、セクシーさも求められていました。かつては、ビキニマッチや下着マッチ、コスプレマッチなど、セクシーさを売りにした試合が多く組まれ、ディーヴァを扱ったプロモーションビデオでも同様の傾向が見られました。ディーヴァの前職は、グラビアモデルやポルノ女優、ボディビルダーなど、スタイルが良く、水着や下着になることを厭わない職業であることが多かったようです。

ディーヴァ王座

ディーヴァを対象とした王座は、WWE女子王座でした。この王座は、当初WWEの番組RAWが管理していましたが、SmackDownにもディーヴァを対象とした王座としてWWEディーヴァズ王座が創設されました。その後、両王座は統一され、最終的に2016年にWWE女子王座に統合される形で消滅しました。

日本におけるディーヴァ

WWEで活躍したTAJIRIが帰国後に旗揚げした団体SMASHでは、女子を対象とした王座を「ディーバ王座」と名付けたことがあります。また、日本では「試合に介入する女性セコンド」という意味で使用されることがあり、マイケル・ベネットに対するマリア・ケネリス、BULLET CLUBに対するアンバー・ギャローズ、CMLL選手に対する下田美馬などがその例です。WWEでディーヴァを務めた鈴木浩子は、ハッスルでもゲイシャガールとしてディーヴァの役割を務めました。新日本プロレスのタイチは、鈴木軍時代にあべみほを「帯同」させていましたが、後にその関係を解消しています。

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