デイジーカッター

デイジーカッターとは

デイジーカッター（Daisy Cutter）は、地表の構造物を瞬時に吹き飛ばすために設計された爆弾や、その目的に特化した延長信管を指す軍事用語です。この名称は、英語の"Daisy"（ヒナギク）が「雑草」を意味することから派生しており、爆弾が地面の障害物を「刈る」能力を強調しています。

代表的な兵器として、アメリカ空軍によって開発された約6,800 kgの巨大な爆弾、BLU-82/Bが挙げられます。

BLU-82/Bの概要

この爆弾は、約5,700 kgのスラリー爆薬を利用しており、C-130輸送機から投下される際には、パラシュートを開くことで速度を落とし、地表1メートルの高さで信管が作動します。BLU-82/Bは誘導装置を持たないため、命中精度は高くありませんが、特定の標的を狙うためのものではなく、大規模な爆風を利用して広範囲に影響を与えることを目的としています。

この爆弾は、ベトナム戦争の時に開発され、主にジャングルの木を一掃し、簡易的なヘリポートを設けるために使用されました。また、湾岸戦争では地雷原の除去に利用され、その爆発の威力に驚いた兵士たちが、核兵器の爆発と誤認したという報道もあります。さらに、イラク戦争では、BLU-82/Bの使用によって、イラク軍が「アメリカ軍が原爆を使用した」と誤解したことも記録されています。

デイジーカッターの誤解と真実

デイジーカッターについて誤解されることがあるのは、燃料気化爆弾に関連付けられることです。この考えは間違いであり、BLU-82/Bと燃料気化爆弾は別のものとして理解する必要があります。また、スラリー爆薬にアルミニウム粉末が混ぜられていることから、粉塵爆発としての特性を持つとの誤報も存在しますが、これは科学的に誤解を招くものであり、実用的な兵器としての信頼性を欠いています。

火薬学の原理では、爆薬の威力を高めるためにアルミニウム粉末が添加されることが一般的ですが、BLU-82/Bの使用意図は主に構造物を吹き飛ばすことであり、工事などの目的に利用されることが多いのです。実際に2008年にはアメリカ空軍が最後のデイジーカッターをユタ州の演習場で処分しました。

今後の展望

デイジーカッターに代わる次世代の兵器として、Massive Ordnance Air Blast bombが登場しています。この新しい装備が将来的にどのように運用されるのか、今後の動向が注目されます。

関連項目

• - BLU-82
• - Massive Ordnance Air Blast bomb
• - 地中貫通爆弾
• - 大型貫通爆弾

デイジーカッターは、その歴史的背景や誤解を解くことが重要であり、今後も軍事戦略の一環としてその役割を果たすことでしょう。

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