デトロイト交響楽団

デトロイト交響楽団（Detroit Symphony Orchestra、略称DSO）は、1914年に設立されたアメリカ合衆国ミシガン州デトロイトを本拠地とするオーケストラです。

歴史

デトロイトが自動車産業で栄えた時代に設立され、その経済力を背景に発展を遂げました。楽団の経営は、自動車産業の景気に大きく左右されるという特徴があります。1922年には、アルトゥール・シュナーベルを迎え、世界初のラジオ放送を行いました。その後も、フォードやGMなどの自動車会社がスポンサーとなり、アメリカ国内でのラジオ放送を継続しています。

年間45万人もの観客を動員する演奏会を開催し、1926年からは子供向けの無料教育コンサートも実施しています。また、2005年には楽団の敷地内に芸術高校が開設されました。2代目首席指揮者のオシップ・ガブリロヴィッチは、就任の条件として演奏会場の新設を要求し、その結果オーケストラ・ホールが建設されました。ビクター、ロンドン、デッカ、マーキュリー、RCA、シャンドスなど、数多くのレーベルに録音を残しています。

ポール・パレーが音楽監督を務めた時代には、目覚ましい発展を遂げ、アメリカのトップオーケストラの一つとして知られるようになりました。パレーとDSOは、マーキュリー・レコードにサン＝サーンスの交響曲第3番をはじめとする多くの録音を行い、世界的な名声を確立しました。

パレーの退任後、楽団は財政難に苦しみましたが、アンタル・ドラティが音楽監督に就任すると、再び黄金時代を迎えました。ドラティは積極的にレコーディングや放送を行い、1979年には初のヨーロッパツアーを実施しました。ドラティ指揮の《春の祭典》のCDは、グランプリ・デュ・ディスク賞を受賞しています。

ドラティが運営方針をめぐって理事会と対立し辞任した後、ネーメ・ヤルヴィが音楽監督に就任し、経済的に困難な時期の楽団を率いました。ヤルヴィは、シャンドス・レーベルを中心に録音活動を行い、楽団の演奏水準を維持しました。その後、レナード・スラットキンが音楽監督に就任し、多様なメディアを活用した録音を残しました。2020年からは、ヤデル・ビニャミーニが音楽監督を務めています。

歴代音楽監督・首席指揮者

ウェストン・ゲイルズ（1914 - 1917）
オシップ・ガブリロヴィッチ（1918 - 1936）
フランコ・ギオーネ（1936 - 1940）
ヴィクター・コラー（1940 - 1942）
カール・クリューガー（1944 - 1949）
ポール・パレー（1951 - 1962）
シクステン・エールリンク（1963 - 1973）
アルド・チェッカート（1973 - 1977）
アンタル・ドラティ（1977 - 1981）
ギュンター・ヘルビヒ（1984 - 1990）
ネーメ・ヤルヴィ（1990 - 2005）
レナード・スラットキン（2008 - 2018）
ヤデル・ビニャミーニ（2020 - ）

参考文献

ONTOMO MOOK『世界のオーケストラ名鑑387』音楽之友社、2009年。
ONTOMO MOOK『世界の名門オーケストラ』音楽之友社、2020年。
上地 隆裕著『世界の[オーケストラ] ～北米・中米・南米編～』株式会社 芸術現代社、2015年。ISBN 978-4-87463-203-1。

外部リンク

* Detroit Symphony Orchestra - 公式ウェブサイト

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