デニス・ブリアコフ

デニス・ヴィクトロヴィチ・ブリアコフ

デニス・ヴィクトロヴィチ・ブリアコフ（Denis Viktorovich Bouriakov）氏は、1981年10月25日にウクライナ・ソビエト社会主義共和国のシンフェロポリに生まれた、ロシアを代表するフルート奏者です。その卓越した技術と表現力により、オーケストラ奏者、そしてソリストとして、国際的に高い評価を得ています。

経歴

ブリアコフ氏は、音楽教育をモスクワ音楽院で受け、卒業後、さらなる研鑽のために英国へ渡りました。英国王立音楽院では、著名なフルート奏者であり指導者であるウィリアム・ベネット氏に師事し、演奏技術と音楽性を磨きました。

若くしてその才能を開花させたブリアコフ氏は、わずか11歳でソリストとしてデビューを果たし、ロシア各地で演奏活動を展開しました。これまでに、モスクワ交響楽団、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団、日本のアンサンブル・オブ・トウキョウ、ドイツのミュンヘン室内管弦楽団、パリ室内アンサンブルといった、世界的に知られるオーケストラやアンサンブルと共演を重ねています。

オーケストラ奏者としても輝かしいキャリアを築いています。過去には、ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団、リーズを拠点とするオペラ・ノース、フランクフルト放送交響楽団、フィンランドのタンペレ・フィルハーモニックなどで首席フルート奏者を務めました。特に、クラシック音楽界で最も権威あるポストの一つである、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場管弦楽団でも首席奏者としてその手腕を発揮しました。そして2015年からは、アメリカ西海岸を代表する世界的なオーケストラ、ロサンゼルス・フィルハーモニックの首席フルート奏者として活躍しており、その中心的な存在となっています。

オーケストラでの活動に加え、ソリストとしても精力的に演奏活動を行っています。世界各国の主要なフルートコンベンションに招聘され、リサイタルを開催しています。具体的には、2004年と2006年の英国フルート協会コンベンション、2005年と2007年のNFA（全米フルート協会）コンベンション、そして2007年、2011年、2013年には日本のフルートコンベンションで聴衆を魅了しました。これらの活動を通じて、ブリアコフ氏はフルート界における国際的な影響力を確立しています。

受賞歴

ブリアコフ氏は、その優れた才能を多くの国際コンクールで認められています。主な受賞歴は以下の通りです。

1998年：チェコのコンチェルティーノ・プラガ国際コンクールで第1位。
2002年：デンマークのカール・ニールセン国際フルートコンクールで第2位。
2003年：イタリアのレオナルド・デ・ロレンツォ国際フルートコンクールで第2位（1位なし）。
2004年：ドイツのミュンヘン国際音楽コンクールにおいて、課題曲演奏特別賞およびベーレンライター賞を受賞。
2005年：フランスのジャン＝ピエール・ランパル国際フルートコンクールで第2位。
2006年：中国の北京オーレル・ニコレ国際フルートコンクールで第2位。
* 2007年：アメリカのバーネット財団フルートコンクールで第1位。

これらの受賞は、ブリアコフ氏が若くして既に世界トップレベルのフルート奏者であったことを示しています。

録音・映像

1996年には、ブリアコフ氏に焦点を当てたドキュメンタリー映画「Finding of color. Denis Bouriakov」が制作されました。

使用楽器

ブリアコフ氏はAltus（アルタス）のPSモデルのフルートを使用しています。これは、その豊かな響きと優れた演奏性で知られる楽器です。

デニス・ブリアコフ氏は、その類まれなる技術と深い音楽性により、現代フルート界を牽引する重要な存在として、今後の更なる活躍が期待されています。

もう一度検索