デニス・ランバート

デニス・ランバート：音楽史に輝くヒットメーカー

デニス・ランバート（Dennis Lambert、1947年 - ）は、アメリカ合衆国出身の音楽家であり、ソングライター、プロデューサーとして、1970年代を中心にその才能を発揮しました。特にブライアン・ポッターとのコンビで制作したブルー・アイド・ソウル的な楽曲は、数多くのヒットを記録し、音楽史にその名を刻んでいます。ニューヨークのブルックリン区で生まれ、そのキャリアは1960年代から始まりました。

60年代：下積み時代と作曲家としての才能開花

1960年代、ランバートはキャピトル・レコードと契約し、音楽業界でのキャリアをスタートさせます。当初は、他のアーティストへの楽曲提供やプロデュースを中心に活動していました。ルー・コートニーとの最初のコンビでは、フレディ&ザ・ドリーマーズ、ロレイン・エリスン、ジェリー・バトラー（1967年のシングル『I Dig You Baby』）、ジェリー・リー・ルイスなど、多様なアーティストへ楽曲を提供し、作曲家としての才能を開花させました。

1965年には、マーキュリー・レコードのA&Rとして、クインシー・ジョーンズやシェルビー・シングルトンに師事し、音楽業界での知識と経験を深めます。その後、ドン・コスタに従いDCPレコードに入社し、A&R部門を経営しながら、制作・作曲活動を行いました。ベトナム戦争中にアメリカ陸軍で勤務した後、1968年にロサンゼルスへ拠点を移します。

70年代：ブライアン・ポッターとの黄金コンビ

1969年、ランバートはロンドンで、ソングライター兼ミュージシャンのブライアン・ポッターと出会い、11年間に及ぶ実り豊かな共作を開始します。二人はロサンゼルスの新興レーベル「タレント・アソシエーツ」に参加し、プロデューサーのスティーブ・ビンダーの元で、カナダのグループ、オリジナル・キャストの『One Tin Soldier』をヒットさせます。日本では「ミスター・マンデイ」が大ヒットしました。また、シールズ・アンド・クロフツなどのアーティストも育成しました。

タレント・アソシエーツの売却後、二人はABCダンヒル・レコードに移籍し、グラス・ルーツ、ハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズ、ゲイル・マコーミック（元スミス）、フォー・トップス、ダスティ・スプリングフィールド、リチャード・ハリスなどをプロデュースしました。A&Rチーフのスティーブ・バリとも頻繁に仕事をしました。

1972年には、ソロ・アルバム『Bags & Things』を発表し、1974年には自身のレーベル「ヘイヴン・レコード」を設立。キャピトル・レコードの配給で、ライチャス・ブラザーズ、グラス・ルーツ、イーヴィー・サンズ、プレイヤーなどの作品を発表しました。また、キャピトル・レコードのタヴァレスやグレン・キャンベルも担当しました。

1970年代に制作した代表的な作品としては、フォー・トップス『Ain't No Woman (Like the One I've Got)』、ハミルトン、ジョー・フランク&レイノルズ『Don't Pull Your Love』、グラス・ルーツ『恋は二人のハーモニー』、イーヴィー・サンズ『You Brought A Woman Out Of Me』、タヴァレス『It Only Takes a Minute』、プレイヤー『ベイビー・カム・バック』、グレン・キャンベル『ラインストーン・カウボーイ』などが挙げられます。特に、1974年にはライチャス・ブラザーズの大ヒット・アルバム『Rock and Roll Heaven』を制作し、彼らの再評価に大きく貢献しました。

80年代以降：多様な才能の発揮

1980年代以降も、ランバートの活躍は衰えることなく、コモドアーズの『ナイトシフト』、スターシップの『シスコはロックシティ』、テンプテーションズの『Love On My Mind Tonight』、デニス・エドワーズの『Don't Look Any Further』、ナタリー・コールの『ピンク・キャデラック』など、数多くのヒット曲をプロデュースしました。

1990年代には、デイヴ・コーズ、リトル・リバー・バンド、エレイン・ペイジ、ディオンヌ・ワーウィックなどとも共演し、エドワード・ジェームズ・オルモス監督の映画『アメリカン・ミー』のスコアも担当しました。1990年代中期にはニューヨークに戻り、「バビロン・エンタテインメント」を設立し、トラウマ・レコード（BMG）を通じて配給を行いました。

2000年代には南フロリダに拠点を移し、息子である脚本家のジョディ・ランバートが監督した長編ドキュメンタリー映画『Of All The Things』が制作されました。この作品は、ランバートがフィリピンでの全米ツアーに参加する様子を追ったものです。2011年には、ワーナー・ブラザースとスティーブ・キャレルが、ランバートの生涯を元にした映画を製作する計画を発表しました。

近年では、ポッターと再合流し、ブロードウェイのミュージカル制作に力を注いでおり、歌手としてライブやツアーも行っています。その才能は多岐にわたり、音楽業界に多大な影響を与え続けています。

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