デニール

デニールとテクス：糸の太さを測る単位

デニール (denier)

デニール（記号: D）は、糸や繊維の太さを示す繊度の単位の一つです。通常、糸の太さは長さで表すのが一般的ですが、非常に細く柔らかい糸を直接測定するのは困難です。そこで、一定の長さの糸の質量によって太さを表す方法が用いられます。

デニールの定義は、「キログラム毎メートルの九百万分の一」とされています。これは、9000メートルの糸の質量をグラムで表した値です。例えば、9000メートルの糸の質量が150グラムであれば、その糸は150デニールとなります。デニール値が大きいほど糸は太く、小さいほど細くなります。

デニールは、主に絹などの生糸やレーヨン、ナイロンなどの合成繊維の太さを表すのに用いられます。単位の名称は、フランス語の貨幣「denier（ドゥニエ）」に由来します。これは、かつて東洋の絹がローマのデナリウス銀貨の重さで取引されていたことに起因します。

デニールの単位記号は「D」ですが、屈折度の単位であるディオプトリ（記号も「D」または「Dptr」）と紛らわしい点に注意が必要です。

テクス (tex)

テクス（記号: tex）は、デニールと同様に繊度を表す単位で、「キログラム毎メートルの百万分の一」と定義されます。つまり、テクスはデニールの1/9倍に相当します。

JIS L0101-1978（テックス方式）では、「1000メートル当たり1グラムの糸の太さ」としてテクスを定義しています。また、デニールからの換算式として0.1111倍が用いられますが、実際にはデシテクス(dtex)を使用することが一般的です。例えば、50デニールの糸は、約56デシテクスとなります。

テクスという単位名称は、英語で織物を意味する「textile」に由来します。テクスには、キロテクス(ktex)、デシテクス(dtex)、ミリテクス(mtex)といった補助単位も存在します。

デニールとテクス：比較と使い分け

デニールとテクスは、どちらも糸や繊維の太さを表す単位ですが、基準となる糸の長さと質量の関係が異なります。デニールは9000メートル、テクスは1000メートルの糸の質量を基準としています。テクスはデニールの1/9の大きさで、より細い糸の太さを表すのに適しています。

これらの単位は、糸や繊維の太さを示すことで、繊維製品の特性や品質を評価する上で非常に重要です。例えば、ストッキングやタイツなどの製品では、デニール値によって生地の厚さや透明度が異なります。また、テクスは、より細い繊維の太さを正確に表すことができるため、高性能な繊維製品の開発に役立っています。

繊度と計量法

繊度（デニール、テクスなど）は、計量法上、その使用を規制すべきほど確立された物象の状態の量ではないとされています。そのため、取引や証明への使用、および計量器に対する規制の対象外です。

まとめ

デニールとテクスは、糸や繊維の太さを表すために用いられる重要な単位です。それぞれの定義や由来を理解することで、繊維製品の特性や品質をより深く理解することができます。これらの単位は、繊維業界だけでなく、日常生活でも私たちの身近な製品に関わっているため、覚えておくと役立つでしょう。

関連項目

* 連量：紙の厚みを表す単位であり、デニールやテクスと同様に制定規格があります。

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