デムチュクドンロブ

デムチュクドンロブの生涯と政治的背景

デムチュクドンロブ（モンゴル語：ᠳᠡᠮᠴᠣᠭᠳᠣᠨᠷᠤᠪ、キリル文字：Дэмчигдонров）は、1902年2月8日に南モンゴルで生まれた政治家である。彼の通称は「徳王」で、中国語では「希賢」という名で知られる。

彼はチンギス・ハーンの子孫であり、内モンゴル自治区のソニド右旗に生まれ育つ。1908年には地元の公王として認められ、以降は北京政府からも官職を与えられた。1919年からは旗政をつかさどり、自治運動にも関与し始める。

日本軍との関係

1930年代に突入する中で、満州事変が発生するとデムチュクドンロブは日本軍と連携を深めることになる。特に、内モンゴル自治運動の同志であるユンデン・ワンチュク（雲王）と共に、1933年に内モンゴル王公会議を設立し、高度な自治を国民政府に要求した。

この動きは実を結び、1934年には蒙古地方自治政務委員会が設立され、秘書長に就任した。そして、1936年には関東軍の支援を背景に蒙古軍政府が成立し、彼は総司令・総裁に就任。その後、彼は日本の支援に従ってさまざまな軍事行動を展開したが、綏遠事件では日本軍の後援にもかかわらず地元の傅作義軍に撃退された。

蒙古聯盟自治政府の設立

盧溝橋事件を受けて、日本が内蒙古へ本格的に軍を展開するようになり、デムチュクドンロブは雲王と共に蒙古聯盟自治政府を1937年に設立した。この新政府は、名目的には汪兆銘政権下の体制に組み込まれたものであったが、事実上は内モンゴル地域の自主権を示すものであった。

彼はその後、何度か日本を訪問し、政治的な支持を得ようと試みた。特に1938年にはお膝元である日本を訪れ、天皇に拝謁する栄光を得るも、自身の目指す自治の実現には至らなかった。

戦後と失脚

1941年、デムチュクドンロブは蒙古自治区政府が改称されて以降、内モンゴルの自治を求め続けた。しかし、1949年に人民解放軍が北平を占領すると、彼は国民政府への再度の自治要求を行ったが、内モンゴルの政治的状況は急速に変化していた。彼はモンゴル人民共和国との接触を持つようになり、最終的にはモンゴル人民共和国に亡命した。

その後、彼は中華人民共和国に引き渡され、思想改造を受けた。出獄後は内モンゴル自治区で文史館に勤務しながら回顧録を執筆する生活へと戻ったが、彼の政治的行動に対する評価は一貫して揺れ動いた。1966年に肝臓病で死去し、彼の人生はモンゴルの歴史の一端を形成することとなった。

家族と後世への影響

デムチュクドンロブには一男があり、彼もまた蒙古政府の一員として活動をしていたが、その後の混乱の中で命を落とすこととなる。彼の生涯やその影響は、多くの文献や研究によって後世に語り継がれている。特に彼の自伝は、モンゴルおよびその自治に関する貴重な資料とされ、様々な評価がなされている。

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