デリラ

デリラ（Delilah）

デリラは、『旧約聖書』の「士師記」に登場するペリシテ人の女性で、イスラエルの英雄サムソンの恋人として知られています。しかし、彼女はサムソンを裏切り、ペリシテ人に売り渡した人物として、聖書物語において重要な役割を担っています。

名前の由来

デリラという名前の語源には諸説あります。ユダヤ教の解釈では、ヘブライ語の「ダーラル」（弱くする）に由来するとされ、彼女がサムソンの力を奪ったことに符合します。一方で、アラビア語では「妖婦」や「誘惑する女」といった意味を持ち、彼女の魅惑的な側面を反映しています。また、アッカド語に起源を求める説もあり、「イシュタルの賛美、威光」や「上品な」「贅沢好みの」といった意味合いも示唆されています。

英語では「ディライラ」/dɪˈlaɪlə/と発音されます。

生涯

サムソンは、古代イスラエルの士師として、並外れた怪力を持つ人物でした。彼はツォルアでデリラと出会い、二人は恋仲となります。サムソンはデリラに心を許していましたが、ペリシテ人の領主たちは、サムソンの力を恐れ、彼を倒すためにデリラを買収しようと企てます。

ペリシテ人の領主たちはデリラに、サムソンを捕らえれば銀1100枚ずつ渡すと約束します。デリラは、サムソンの力の秘密を探るため、彼に何度も質問を繰り返します。サムソンは最初はデリラを欺き、3度まで嘘の答えを伝えます。しかし、4度目にデリラが泣きながら懇願した時、サムソンはついに、自分の力の源が髪にあるという秘密を明かしてしまいます。

デリラは、サムソンが真実を語ったことを悟り、すぐにペリシテ人の領主たちに密告します。そして、サムソンが眠っている間に彼の髪を剃り落としてしまいます。髪を失ったサムソンは、その怪力を失い、ペリシテ人によって捕らえられ、悲劇的な最期を迎えることになります。

デリラの裏切りは、サムソンの悲劇を決定づける重要な要素であり、聖書の中でも特に印象的な物語の一つとして語り継がれています。

参考文献

『新聖書辞典』いのちのことば社、1985年
『新聖書注解』いのちのことば社、1974年

関連項目

デリラ (小惑星)
サムソンとデリラを題材とした作品
サムソンとデリラ (オペラ) - サン＝サーンス作曲のオペラ。
サムソンとデリラ (1922年の映画) - 1922年のオーストリアの映画。アレクサンダー・コルダ監督。
サムソンとデリラ (1949年の映画) - 1949年のアメリカ合衆国の映画。セシル・B・デミル製作・監督。
サムソンとデリラ (1984年のテレビ映画) - 1984年のアメリカのテレビ映画。リー・フィリップス監督。
サムソンとデリラ (1996年の映画) - 1996年のドイツのテレビ映画。ニコラス・ローグ監督。
サムソンとデリラ (2009年の映画) - 2009年のオーストラリアの映画。ワーウィック・ソーントン監督。
サムソンとデリラ (マンテーニャ) - アンドレア・マンテーニャの絵画。
サムソンとデリラ (ルーベンス) - ピーテル・パウル・ルーベンスの絵画。
サムソンとデリラ (レンブラント) - レンブラント・ファン・レインの絵画。
士師記

外部リンク

ウィキソースには、士師記（口語訳）の原文があります。)
ウィキソースには、士師記（文語訳）の原文があります。)

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