トイポップ

トイポップ (TOYPOP)

1986年4月にナムコ（現：バンダイナムコエンターテインメント）からリリースされたアーケードゲーム。同社が手掛けたゲームとしては『スカイキッド』に続く2人同時プレイ可能な作品として知られています。

ストーリー

舞台はおもちゃの国。邪悪な魔女と魔法使いによって、善良な心を持っていた兵隊たちは次々と悪の心に変えられ、おもちゃの国は支配されてしまいました。この惨状から逃れた人形の男の子「ピノ」は、友人の女の子「アチャ」と共に、おもちゃの国を救うため、魔女の居城を目指す冒険へと旅立ちます。

ゲーム内容

プレイヤーは、1P側が主人公のピノ、2P側がアチャを操作します。操作は4方向レバーでの移動と、1つのボタンでの武器発射で行います。ゲームのステージは「BOX」と呼ばれ、各BOX内に隠された4つの「ハート」を制限時間内に全て集めると扉が開き、その扉に入ればBOXクリアとなります。2人同時プレイ時は両方のプレイヤーが扉に入る必要があります。

各BOXには画面左下に制限時間が表示されており、初期値90から減少していきます。制限時間がゼロになるか、敵を全滅させて扉が完全に開いた状態になると、画面がフラッシュし、BGMが変化。扉から遠い端からブロックが次々と出現し、プレイヤーの移動範囲を狭めていく永久パターン防止キャラクター「ご先祖ブロック」が発動します。このブロックに挟まれると、服を着ているかどうかにかかわらずミスとなります。ご先祖ブロック発動後のミスは、次のBOXへ進む扱いとなります。制限時間は1人プレイの場合、ミスすると再開時に90に戻りますが、2人同時プレイではミスしても巻き戻されず、そのままカウントダウンが継続されます。ただし、最終BOXのみ、制限時間がゼロになってもご先祖ブロックは出現しません。

BOX内に登場する全ての敵を倒してからクリアすると、ボーナス点が加算されます。全44BOXをクリアすればエンディングとなります。

登場する敵キャラクターにはそれぞれ有効な武器が決まっているため、状況に応じて適切な武器を選択して攻撃する必要があります。武器の持ち替えや、そのBOXに有効な武器が存在しない場合の戦略（前のBOXからの持ち越しやアイテムの活用）が重要となります。

8BOXごとにボーナスステージが用意されています。ここでは操作が左右移動とジャンプに変わり、3本の木から落ちてくるリンゴを取ると得点が得られます。

最終BOXでは魔女との直接対決となります。フィールド内の特定位置に隠された8つのハートを見つけ出して取得することで魔女を倒すことができ、ゲームクリアとなります。

敵の攻撃を一度受けるとプレイヤーの服が脱げ、その状態でもう一度攻撃を受けるとミスとなります。全てのプレイヤーがミスになるとゲーム終了です。

キャラクター

ピノ (1P)：プレイヤーキャラクターである男の子。名前は童話のピノキオが由来とされています。武器の射程と移動速度に優れています。ファミリースタジアムシリーズでは「ぴの」として登場し、俊足の一番打者として高い知名度を誇ります。
アチャ (2P)：ピノの友達である女の子。名前は赤ずきんが由来とされています。ピノに比べて射程や移動速度は劣りますが、武器を投げる速度が速く、連射性能が高いという特徴を持ちます。ナムコ広報誌『NG』において、コペンハーゲン生まれのアルプス育ちという公式設定が存在することが明かされています。

その他、兵士、車（クルマン）、戦車、風船（ドムドム）、トランプ（トランプマン）、ロボット、サル、そして中ボスの魔法使い、最終ボスの魔女といった、おもちゃや機械をモチーフにした個性豊かな敵キャラクターが登場します。

フィールド構成要素

各BOXのブロック配置、トラップ、武器や敵の出現パターンは固定ですが、アイテムやお菓子、特定の武器の配置場所はランダムです。

ブロック：撃っても壊れない壁や障害物。
箱（ボックス）：アイテム、お菓子、トラップ、または空の場合があります。一度撃つと中身が見え、もう一度撃つと取得またはトラップが発動します。敵の弾でも開きます。
ビン：ハートまたは空の場合があります。箱と同様に2回の攻撃で中身が取得できます。
扉：4つのハートを集めると開きます。BOXクリアのための出口。弾は素通りします。
敵出現口（ジェネレーター）：敵が出現する場所。敵を出し終えると普通のブロックになります。
ニセブロック：見た目は普通のブロックですが、一度撃つと空の箱になります。特定のBOXでハートを見つけるために重要です。
ワープゾーン：特定のBOXに存在する、画面端から反対側の端へ移動できるエリア。
ダイヤの泉：箱の一種。撃つとダイヤが連続で出現し、全て出ると消滅します。

アイテムとトラップ

箱やビンからは様々なアイテムやトラップが出現します。

アイテム

お菓子：キャンディ、ショートケーキ、ドーナツ、バームクーヘンの4種類。取得すると得点が増えます。
ダイヤ：ダイヤの泉から出現。取得すると得点が増えるボーナスアイテムです。
服：特定のBOXに出現。服が脱げた状態でのみ取得可能で、プレイヤーの耐久力を回復させます（青い服がピノ、赤い服がアチャ用）。
ハート：各BOXに4つ隠されており、全て集めると扉が開きます。最終BOXでは魔女を倒す唯一の手段となります。
武器：各BOXに配置されており、敵に対応する武器が存在します。

特定のアイテムは、直前のBOXクリア時のスコアによって出現するかどうかが決まり、スペシャルフラッグ以外は一定時間経過で消滅します。これらには敵をバームクーヘンに変える「フォーク」、敵の動きを止める「砂時計」、全ての箱を開ける「ランプ」、移動速度が上がる「ジェット・ブーツ」、プレイヤーが透明になり無敵になる「フラワー」があります。
「スペシャルフラッグ」はプレイヤーの残機が増えるアイテムで、スコアが一定値の倍数を超えた次のBOX（ボーナスBOXを除く）で出現します。

スペシャル武器として、【7】パネルか【★】パネルが各BOXに1枚用意されており、これらを3枚集めると発動します。発動中にBOXクリアした場合、残り時間は次のBOXに持ち越されます。パネルは一定時間で消滅し、2人同時プレイでは共有となります。

竜巻：【7】を3枚で発動。一定時間無敵になり、高速移動で体当たりするだけで全ての敵（魔法使いを含む）を倒せます。
星：【★】を3枚で発動。一定時間、射程と弾速が大幅に向上し、敵を貫通して全ての敵（魔法使いを含む）を倒せます。

トラップ

トラップは箱に隠されており、出現場所は固定です。

パンチ：箱を開けると飛び出し、当たると一定時間移動不能になります（攻撃は可能）。
マジックハンド：箱の側面から周期的に出現し、触れると服を剥ぎ取られます。マジックハンドが隠れた箱を撃つと出現しなくなります。
時限爆弾：箱を開けるとカウントダウンが始まり、一定時間後に爆発します。爆風に巻き込まれるとミスになりますが、ザコ敵も倒すことができるため、戦略的な利用も可能です。

スコアシステム

敵を倒したりアイテムを取得したりすることで得点が得られます。スペシャル武器で敵を倒した場合、得点は2倍になります（魔法使いを除く）。体当たり、時限爆弾、ご先祖ブロックによる敵撃破では得点は入りません。

アイテム類は、取得することで20点（ハートは50点、お菓子やダイヤは種類に応じて50〜300点、リンゴは100点）が得られます。

「クリアボーナス（NICE WORK BONUS）」は、各BOXで敵を全滅させた上で扉に入りクリアした場合に加算され、500点＋残り時間×10点です。魔法使いが登場するBOXでは、魔法使いも倒す必要があります。2人同時プレイ時は、そのBOXでより多くの敵を倒したプレイヤーにボーナスが入り、同数の場合は2P側に加算されます。最終BOXにはクリアボーナスはありません。

2人同時プレイ時のハイスコア記録や、スペシャルフラッグ、スコア依存アイテム、ボーナスステージのリンゴ出現順の判定には、1Pと2Pの合計スコアが参照されます。

その他

ゲーム基板は『リブルラブル』のものが流用されています。
ディップスイッチの設定により、開始BOXの選択やコンティニューの有無を変更できます。コンティニューは2人同時プレイ時のみ有効で、無効設定時でも片方のプレイヤーがゲームオーバーになった際、生存プレイヤーの残り人数を分けてコンティニューできる機能も存在します。

スタッフロールの「STAFF」が「STUFF」と誤表記されています。

音楽は小沢純子氏が手掛け、ラグタイムを基調とした楽曲は高い評価を得ています。ネームエントリー時のBGMは、ナムコ本社の電話保留音として実際に使用されていたというエピソードがあります。

当初は『ワープマン』に似た宇宙が舞台の『スペースアラモ』として開発が進められていた時期もありました。

移植版

1989年：電波新聞社よりX1用ゲームソフトとして発売。
1995年11月22日：プレイステーション版『ナムコミュージアム Vol.1』に収録。
1997年4月25日：Windows版『ナムコヒストリー Vol.1』に収録。
2009年11月24日：Wiiのバーチャルコンソールアーケードで配信。
* 2022年10月13日：アーケードアーカイブスとしてPlayStation 4|PlayStation_4版とNintendo Switch版が配信開始。

ファミリーコンピュータ向け『プロ野球ファミリースタジアム』シリーズでは、主人公のピノが「ぴの」としてナムコスターズに登場し、その俊足ぶりが有名になりました。『'88』以降の一部の作品では、アチャもアナウンサーとして登場しています。また、スーパーファミコン版『リブルラブル』の隠しモードには、『トイポップ』にちなんだ絵やBGMが使用されている要素があります。

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