トゥターエフ

トゥターエフは、ロシア連邦ヤロスラヴリ州に位置する人口約4万人の都市です。州都ヤロスラヴリから北西に約40km、ダニロフ丘陵の西側に位置し、ヴォルガ川が街を南北に流れています。この街は、かつてロマノフとボリソグレブスクという二つの別々の町が合併してできたという歴史を持っています。

歴史

1822年以前、この街は「ロマノフ＝ボリソグレブスク」と呼ばれていました。ヴォルガ川の右岸に位置するロマノフは、1370年頃にヤロスラヴリ公ロマン・ヴァシリエヴィチによって建設されたと伝えられています。一方、左岸のボリソグレブスクは15世紀末に記録に初めて登場し、当時はモスクワ大公国支配下の漁村でした。ボリソグレブスクの名前は、聖ボリスとグレブに由来します。1777年に二つの町はそれぞれ市として認められましたが、1822年に合併して一つの市となりました。20世紀初頭まで、この地域は羊の飼育と羊毛生産が盛んでした。しかし、ロシア革命後の1918年、ヤロスラヴリ蜂起で戦死した赤軍兵士イヴァン・トゥターエフにちなんで、都市名はトゥターエフと改名されました。

街の概要

現在のトゥターエフでは、人口の多くがヴォルガ川の右岸、かつてのロマノフ側に住んでいます。この地域には、木造の古い家並みや救世主復活大聖堂などの歴史的建造物が数多く残っています。一方で、川から離れた場所にはソ連時代のアパートも立ち並び、時代の変遷を感じさせます。ヴォルガ川には橋が架かっていないため、住民はフェリーで川を渡るか、近隣のルイビンスクやヤロスラヴリまで車で迂回する必要があります。

ヴォルガ川の左岸、かつてのボリソグレブスク側には、右岸よりも多くの17世紀から18世紀に遡る聖堂が残されています。主なものとしては、1658年に建てられた十字架挙栄大聖堂、1652年から1678年にかけて建てられた救世主復活大聖堂、1758年のカザン-プレオブラジェンスカヤ教会、1674年の生神女庇護聖堂などが挙げられます。

また、トゥターエフには旧ソ連時代から最大級の自動車・トラクター用ディーゼルエンジン工場が立地しています。鉄道はヤロスラヴリからルイビンスクを経てボロゴエに至る路線の支線がトゥターエフまで伸びており、終点のトゥターエフ駅はヴォルガ川右岸にあります。トゥターエフ近郊には、世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワの生まれた村があり、記念館も設けられています。

トゥターエフは、歴史と現代が交錯する魅力的な都市であり、その歴史的建造物や自然の景観は多くの人々を魅了しています。

もう一度検索