トゥドハリヤ4世

トゥドハリヤ4世：ヒッタイトの苦悩の大王

トゥドハリヤ4世（在位：紀元前1240年頃 - 紀元前1215年頃）は、ヒッタイトの大王であり、熱心な神殿建築で知られています。彼の時代は、ヒッタイトの国力が衰退に向かう転換期でもありました。

王位継承を巡る内紛

ハットゥシリ3世の息子として生まれたトゥドハリヤ4世は、兄がいたにもかかわらず王位を継承しました。しかし、彼の王位は安泰ではありませんでした。父王の時代にタルフンタッシャの副王に封じられていた従兄弟のクルンタが、王位の正当な後継者として勢力を拡大し、トゥドハリヤ4世を苦しめました。

トゥドハリヤ4世自身、父がクルンタの兄であるムルシリ3世から王位を奪ったことに批判的であり、父に背いた人物を非難していました。彼はクルンタとの間で互いに友好を誓約し、その誓約を青銅板に記録しました。この青銅板は、ハットゥシャ遺跡から発見されています。

しかし、クルンタが「大王」を名乗る印影も発見されており、彼が短期間ながらハットゥシャでヒッタイトの大王として君臨した可能性も否定できません。クルンタがいつ、どのような形で王位を主張したのか、両者の関係には未だ解明すべき点が多く残されています。

相次ぐ外敵との戦い

対外的には、トゥドハリヤ4世はアラシア（キプロス島）の一部を征服しましたが、西部国境ではアヒヤワ（Ahhiyawa）の侵入により支配権を失いました。東方では、アッシリアのトゥクルティ・ニヌルタ1世がヒッタイトの同盟国ミタンニに侵攻。彼はミタンニ王シャトゥアラを助けてアッシリアと戦いましたが敗北し、ミタンニはアッシリアに併合されました。さらに、ユーフラテス川流域でもアッシリアの攻勢を受け、領土を奪われるなど、ヒッタイトの国境線は大幅に後退しました。

宗教政策と建築事業

度重なる敗北により、王の権威を維持するため、トゥドハリヤ4世は宗教政策に力を入れました。彼の時代は、ヒッタイト王の神聖化が頂点に達し、大規模な神殿建設も行われました。ハットゥシャ遺跡の「上の町」にある広大な神殿群は、彼の時代に建設されたものが多いとされていますが、近年の研究ではより古い時代に遡る可能性も指摘されています。

彼はまた、各地に神殿や王像を建設し、旱魃に備えて13のダムを建設したと伝えられています。実際に、カラクユやアラジャホユックの近くでは、彼の碑文が刻まれたダム遺跡が発見されています。エフラトゥン・プナルやヤルブルトの水辺祭祀遺跡も、彼の時代に作られたと考えられています。

弱体化とその後

熱心な宗教政策にもかかわらず、ヒッタイトは弱体化の一途を辿りました。トゥドハリヤ4世の死後、息子のアルヌワンダ3世が王位を継承しましたが、ヒッタイトの衰退を食い止めることはできませんでした。

関連情報

シャルマ: トゥドハリヤ4世が自分の個人神として信仰した神

外部リンク

Reign of Tudhaliya IV（英語）
Hittite monuments-Karakuyu Hittite Damカラクユ・ダムの遺跡と碑文（英語）
Hittite monuments-Yalburt Hittite Poolヤルブルトの人工池と碑文（英語）

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