トウテイラン

トウテイランについて

トウテイラン（学名：Pseudolysimachion ornatum）は、ゴマノハグサ科に属する多年草で、日本の固有種です。この美しさを持つ植物の名前は、中国の洞庭湖の清らかな水を象徴しています。草丈は40cmから70cmに成長し、直立または斜上に茎を伸ばします。葉の配置は下部で対生し、上部で互生しており、葉身は披針形から長円状披針形です。これらの葉は長さ5cmから10cm、幅は1cmから2.5cmほどで、特に葉の裏側には白い毛が密生しています。

開花と果実

トウテイランの開花時期は7月から11月ですが、特に見頃となるのは8月と9月です。花は頂生の形で穂状に集まり、その青紫色の花冠は約6mmの長さを持っています。2本の雄蕊が花冠よりも長く伸び、果実は球形で直径約4mm、萼よりも少し長く残ります。

生息環境

この植物は日本の京都府、鳥取県、島根県の隠岐諸島に分布していますが、その生息が確認されているのは主に海岸部です。残念ながら、開発や過剰な採取によって影響を受け、個体数は急激に減少しています。環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類（VU）に指定されており、地域によっては特に保護が求められています。たとえば、島根県では準絶滅危惧種（NT）、京都府では絶滅危惧種（EN）に指定されています。

京都府のトウテイラン

京都府では、トウテイランは「市の花」に選定されており、特に京丹後市や網野町に見られます。京丹後市では、琴引浜や浜詰海岸で自生が確認されています。また、その生態系保護の一環として教科課程に組み込まれ、京丹後市立の学校においても栽培が行われています。1992年には、久美浜町の群落が「京都の自然200選」に選ばれ、2009年には市制5周年記念で「市の花」としてトウテイランの重要性が再確認されました。

鳥取県の保護活動

鳥取県においても、トウテイランは地元の「町の花」に選ばれています。特に東伯郡の湯梨浜町では、自生地が数カ所あり、今でも300〜400個体が営まれていますが、絶滅リスクが高いと考えられています。1995年からは鳥取県園芸試験場と共同で保護活動や増殖に取り組んでおり、2022年には天然記念物として指定されました。また、同年には地域のトウテイラン自生地に新たに1700株が植えられた「トウテイランの里」が開設されました。

島根県の状況

島根県では、トウテイランが隠岐諸島のみに自生しています。かつては海岸各地に自生していましたが、盗掘の影響で急激に個体数が減少しています。知夫里島や西ノ島では比較的一般的に見かけますが、中ノ島では限られた場所にしか存在しないことが確認されています。2011年から2013年の調査では、自生地は海岸周辺に見られ、トウテイランの姿が確認できない場所も存在しました。なお、隠岐諸島では初秋を彩る貴重な植物とされています。

結論

その美しい姿と貴重な生態系の一部として、トウテイランは日本の海岸部において重要な役割を担っています。絶滅の危機にさらされているため、さらなる保護と研究が求められています。

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