洞庭湖

洞庭湖（どうていこ）

洞庭湖（どうていこ、拼音: Dòngtíng hú）は、中国湖南省の北東部に広がる淡水湖であり、国内で2番目の大きさを誇ります。全体的に浅く、長江とつながっており、その広大な水面は季節によって大きく変化します。湖の北と南を挟む湖北省及び湖南省から、洞庭湖の名がつけられました。

地理

洞庭湖は、毎年7月から9月にかけて長江から大量の水が流れ込むため、その面積が大幅に拡大します。通常時の湖面積は約2,820平方キロメートルで、これは琵琶湖の約4倍にあたりますが、増水期には20,000平方キロメートルにまで達することがあります。これは関東平野や四国よりも広い面積を持っています。洞庭湖に流入する河川には湘江、資江、沅江（げんこう）、澧水（れいすい）などがあり、これらの河川は湖の生態系に重要な役割を果たしています。

湖は海に接するほどのサイズの船が通行可能であり、長江から洞庭湖を通じて長沙まで航行することができます。しかし、近年では長江上流の森林伐採や、湖への堆積物が増加した結果、水位が低下しつつあります。

洞庭湖には多様な生物が生息しています。カラチョウザメやスナメリ、さらに周辺の湿地にはソデグロヅルやコウノトリなどの鳥類も見られます。東洞庭湖は1992年、西洞庭湖と南洞庭湖は2002年にそれぞれラムサール条約に登録され、保護の対象とされています。また、湖には君山島などの小島が点在し、岳陽楼とともに1988年に国家重点風景名勝区に指定されています。

歴史

洞庭湖の北部は漢代から雲夢大沢（うんぼうだいたく）として知られ、湖北省内では土壌が肥沃であったため農業が盛んでした。湖の開発は北部で進み、水流が主に南から引き込まれるようになったのです。かつて洞庭湖は中国最大の淡水湖とされ、その面積は「八百里洞庭」とも形容されていましたが、長江からの土砂流入の影響を受けて徐々に縮小し、今では鄱陽湖に次ぐ存在となっています。農地の拡大もさらなる面積縮小の要因となっています。2024年7月5日には、湖南省岳陽市華容県で堤防が決壊し、住民の避難が行われるという事態に至りました。

文化と名勝

洞庭湖周辺は、長い歴史を持つ地域であり、文学や神話にも深く根付いています。ドラゴンボートレースの起源は、この湖に流れ込む汨羅江で、戦国時代の詩人・屈原を探すために行われたことに由来しています。また、岳陽楼は多くの詩人によって詠まれ、杜甫の「岳陽楼に登る」や范仲淹の「岳陽楼記」など、著名な文学作品が生み出されています。

君山はかつて湖の中に立っていた島ですが、現在は本土と繋がっています。岳陽楼近くからアクセス可能で、君山銀針という茶の産地としても知られています。この地域は「瀟湘湖南」として親しまれ、多くの詩に詠まれてきました。さらに伝統的な画題である瀟湘八景が描かれ、これが後に日本の八景文化にも影響を与えました。

主な湖岸の都市

• - 益陽市
• - 岳陽市
• - 常徳市

洞庭湖はその美しい景観と、文化的な資源に恵まれた地域であり、多くの観光客を惹きつけています。歴史的な遺産と豊かな自然が融合したこの地は、訪れる価値が十分にあります。

もう一度検索