トゲネズミ属

トゲネズミ属について

トゲネズミ属（Tokudaia）は南西諸島に分布する齧歯目ネズミ科の属であり、現在確認されている種は3つです。これらの種はすべて日本固有種であり、一般にトゲネズミと呼ばれています。含まれる種は以下の通りです。アマミトゲネズミ（Tokudaia osimensis）、オキナワトゲネズミ（Tokudaia muenninki）、そしてトクノシマトゲネズミ（Tokudaia tokunoshimensis）です。

特徴

トゲネズミ属の名前の由来は、その特徴的な外見にあります。約2センチメートルの針状の毛を持ち、主に森林に生息しています。特に自然度の高い広葉樹林やシイ林に住むことが知られています。これらのネズミは雑食性であり、スダジイやマテバシイの実、サツマイモ、さらにはアリや昆虫といった多様な食物を摂取します。観察において、オキナワトゲネズミは飼育下で他の動物も食べたと報告されています。

繁殖の季節は10月から12月頃とされ、一度に生まれる子供の数は、種によって異なり、アマミトゲネズミでは1から7頭、オキナワトゲネズミでは5から10頭とされています。これらのネズミは、フイリマングース、ノネコ、ノイヌなどの捕食者に狙われており、そのため絶滅の危機にさらされています。

分類の歴史

1941年、徳田御稔はアマミトゲネズミを新たな属Acanthomysに分類することを提案しましたが、すでに別のグループに属していたため、1943年に黒田長礼によってTokudaiaの属名が与えられました。1946年には、沖縄産の亜種が記載され、その後は一時的にトゲネズミが1種として捉えられましたが、異なる亜種の報告もありました。

2001年、須藤鎮世らの研究により、身体的特徴や染色体の構成から、トゲネズミ属は3つの異なる種に分類できることが明らかになりました。金子之史によっても確認され、第3の種であるトクノシマトゲネズミは2006年に記載されました。

トゲネズミ属の種

トゲネズミ属に含まれる3種は、それぞれ異なる染色体数や性染色体の型を持ち、すべて日本の天然記念物に指定されています。

• - アマミトゲネズミ（Tokudaia osimensis）

これは奄美大島に生息し、体のサイズはオキナワトゲネズミよりも小さく、染色体数は2n=25（XO型）。絶滅危惧IB類（EN）に分類されています。

• - オキナワトゲネズミ（Tokudaia muenninki）

沖縄本島北部に生息し、染色体数は2n=44（XY型）。特に絶滅危惧IA類（CR）にあたります。

• - トクノシマトゲネズミ（Tokudaia tokunoshimensis）

徳之島のみで見つかり、染色体数は2n=45（XO型）。これらの中で最も大きな個体であり、絶滅危惧IB類（EN）に分類されています。

その他のトゲネズミ

学術的にはトゲネズミ属に限られますが、ペット業界などでは「○○トゲネズミ」として他の種を指すことがあります。これらはネズミ科やアメリカトゲネズミ科に分類されることがほとんどです。たとえば、アフリカトゲネズミ属（Acomys）や、キノボリトゲネズミ属（Echimys）などがその例にあたります。

終わりに

トゲネズミ属は日本の自然環境において重要な一部であり、絶滅の危機にさらされながらも独自の生態系を築いています。これらの種の保護と研究の重要性は、今後の生物多様性の保持において欠かせないものと言えるでしょう。

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