トマス・エジャートン (初代ブラックリー子爵)

初代ブラックリー子爵トマス・エジャートンの生涯

初代ブラックリー子爵トマス・エジャートン（1540年 - 1617年）は、イングランドの法律家、政治家、廷臣、貴族として、波乱に満ちた時代を生きました。彼は法曹界での輝かしい経歴を持ち、庶民院議員、大法官、国璽尚書といった要職を歴任しました。

生い立ちと初期のキャリア

1540年、サー・リチャード・エジャートンの私生児として生まれたトマスは、オックスフォード大学ブレーズノーズ・カレッジで学び、その後リンカーン法曹院で法を修めました。1572年には法廷弁護士の資格を取得し、司法の世界で頭角を現し始めます。

法曹界での昇進

トマスは着実に司法の階段を上り、1581年から1592年には法務次官、1592年から1594年には法務長官、1594年から1603年には控訴院記録長官を務めました。また、1584年から1587年には庶民院議員としても活動しました。これらの経験は、彼の政治家としての基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

エリザベス朝の政治的動乱

エリザベス1世の治世下、エジャートンはバーリー男爵ウィリアム・セシル、ロバート・セシル父子とエセックス伯ロバート・デヴァルーの派閥抗争に巻き込まれました。エジャートンはエセックス伯派に属し、その感情的な行動を抑制しようと努めましたが、エセックス伯は忠告を聞き入れず、1599年のアイルランド遠征失敗により失脚しました。その後、エジャートンは女王の命令でエセックス伯を拘束し、1601年のクーデター未遂事件では、彼によって屋敷に閉じ込められるという危機にも遭遇しました。

大法官としての活動

1596年に枢密顧問官に列せられたエジャートンは、国璽尚書に就任。1603年にはエルズミア男爵に叙され、大法官に転任しました。彼はコモン・ローを重視し、ジェームズ1世の司法介入に反対するエドワード・コークと対立し、国王大権を擁護する立場を取りました。また、議会やコーク率いるコモン・ロー裁判所を批判し、コークの著書『判例集』についても批判的な見解を示しました。ただし、その一方で、『判例集』の良い点も認めるなど、公平な判断も下しました。

その他の活動

1613年から1614年には委員会制の大蔵卿の第一卿を務めました。また、1610年から1617年にはオックスフォード大学学長も務めました。学長在任中には、セント・ジョンズ・カレッジの学寮長選挙をめぐり、反カルヴァン主義のウィリアム・ロードの立候補を巡ってカルヴァン主義者から訴えがありましたが、エジャートンは選挙の実施を承認しました。

死と遺産

1616年11月にはブラックリー子爵に叙されましたが、翌1617年3月15日に死去しました。彼の爵位は次男のジョン・エジャートンが継承し、後のブリッジウォーター伯爵家の祖となりました。

栄典

1603年：エルズミア男爵
1616年：ブラックリー子爵

家族

エジャートンは3度の結婚をしました。

最初の妻エリザベス・レーヴェンスクロフトとの間には2男1女がいました。
長男トマス・エジャートン
次男ジョン・エジャートン（後の第2代ブラックリー子爵、初代ブリッジウォーター伯爵）
長女メアリー・エジャートン
* 2番目の妻エリザベス・モア、3番目の妻アリス・スペンサーとの間には子供はいませんでした。

まとめ

初代ブラックリー子爵トマス・エジャートンは、激動の時代を生き抜いた法律家、政治家、貴族でした。彼の生涯は、当時のイングランドの政治的、社会的な状況を色濃く反映しており、その功績は後世にも語り継がれています。

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