トヨタ・カローラFX
カローラFX
カローラFX（カローラ エフエックス、COROLLA FX）は、トヨタ自動車が1984年から1995年にかけて製造したハッチバック型の乗用車です。このモデルはカローラシリーズの派生車種であり、特にヨーロッパやオセアニア市場向けに設計されました。1983年にホンダ・シビックとその兄弟車であるバラードスポーツCR-Xの人気が高まる中、トヨタはこの対抗車としてカローラFXの投入を決定しました。
初代 E8#H型（1984年 - 1987年）
初代カローラFXは1984年10月にデビューし、そのキャッチフレーズは「2BOX上級生」でした。このモデルはカローラシリーズとしては5代目にあたり、特にハッチバック需要が高い地域で人気を博しました。ボディスタイルは3ドアまたは5ドアのハッチバック形式で、空気抵抗係数cd値は高性能な3ドアGTで0.34を達成しています。プラットフォームやサスペンションはカローラセダンと共通しており、リアシートはリクライニング機能が付いており、荷室も広く利用できました。
当初搭載されていたエンジンは、1.6L DOHC・EFIの4A-GELU型（GT）、1.5L SOHCの3A-LU型、1.6L SOHC・EFIの4A-ELU型などがありました。1985年のマイナーチェンジにより、1.8Lディーゼルの1C-L型や1.3L SOHC12バルブの2E-LU型が追加されました。特に「GT」グレードは、日本の乗用車で初めてDOHCエンジンを搭載したモデルとなり、リアスポイラーや高強度のサスペンションなど性能を向上させる装備も充実していました。
「GT」は1980年代中期の全日本ツーリングカー選手権でも活躍し、ライバルのホンダ・シビックと熱い戦いを繰り広げました。特に1986年には仙台ハイランドレースウェイで優勝を果たしています。販売面では欧州市場での人気は高かったものの、日本国内では苦戦を強いられました。
2代目 E9#H型（1987年 - 1992年）
1987年にはフルモデルチェンジが行われ、6代目カローラと同時に2代目が登場しました。この代では、カローラレビンも前輪駆動化が進み、FXのツーリングカー選手権への参戦はなくなりました。主要エンジンは1.3L 2E型や新しい1.5LハイメカツインカムEFIの5A-F型などが搭載され、これにより全車がDOHC16バルブ仕様となりました。
1992年にはマイナーチェンジが実施され、GTグレードのエンジンパワーが向上しました。安全性能も高められ、オプションで電子制御サスペンションやオートドライブが設定されるようになりました。このモデルは南アフリカ市場でも2007年まで生産が続けられました。
3代目 E10#H型（1992年 - 1995年）
1992年に7代目カローラと共にフルモデルチェンジが行われ、3代目FXはスポーティさを追求したスタイリングが特徴となりました。特に「GTスーパーストラット」グレードは、特別な装備や高出力エンジンを搭載し、スポーツ好きなユーザーにアピールしました。1995年4月には国内向けの生産が終了し、その後は在庫対応分のみの販売となりました。
車名の由来
「カローラ」という名前はラテン語で「花冠」を意味し、FXは「FF 2BOX」の省略形から名付けられました。カローラFXは、トヨタのハッチバック市場において重要な役割を果たし、今も多くの自動車ファンに愛され続けています。
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