トリスタン・ダ・クーニャ (探検家)

トリスタン・ダ・クーニャの生涯

トリスタン・ダ・クーニャ（Tristão da Cunha、生年1460年頃 - 死亡1540年頃）は、16世紀初頭のポルトガルの探検家であり、海軍司令官として知られる人物です。彼は、ポルトガル海上帝国の拡大に寄与したことで名を馳せ、また後に枢密院議員としても活動しました。名前のつづりは「Tristão d'Acunha」とも誤記されることがあります。

1506年の航海

クーニャはポルトガルに生まれ、1504年にはポルトガル領インドの初代副王に選ばれましたが、いくつかの事情でその職を辞退しました。翌1506年、彼は15隻の艦隊の司令を任され、アフリカの東海岸およびインド沖合に向かう航海を始めました。この艦隊の一部は、彼の従兄弟であるアフォンソ・デ・アルブケルケが指揮していました。

この航海の目的は、紅海貿易を妨害するためにアデン湾のソコトラ島を侵略し、要塞を築くことでした。艦隊はアフリカ東海岸のムスリム都市に攻撃を加えながら進みましたが、その途中、クーニャは南アフリカから2816kmも離れた南大西洋で孤島を発見します。悪天候のため上陸はできませんでしたが、この島々に「トリスタン・ダ・クーニャ諸島」という名前を付けました。その後、クーニャはマダガスカル、モザンビークを経由し、最終的にソコトラ島へ上陸しました。

1507年には、カナノール包囲が発生し、クーニャはソコトラ島からの帰路にあった艦隊で、陥落寸前のポルトガル要塞を救うことに成功します。この功績により、彼はインドにおいて名声を高めました。

教皇レオ10世の使節として

クーニャは帰国後の1514年、ポルトガル王マヌエル1世の命により、教皇レオ10世へ使節として派遣されます。この年の3月12日、140人から成る豪華な使節団が、野生動物やインドの贅沢な品々を携えてローマに到着しました。特に目を引いたのが、使節団が連れてきた「ハンノ」という名のゾウです。このゾウの上には銀製の城が置かれ、その中には真珠や宝石で飾られた装飾品と金貨が収められていました。教皇はこれらの贈り物をサンタンジェロ城で受け取り、ハンノはその後も教皇に特別な愛情を注がれました。

教皇もマヌエル王に贈り物をしたため、王は香料を贈り返しました。ただし、インド王からの返礼として送られたサイは、ジェノバ沖で難破してしまいます。このサイは、アルブレヒト・デューラーによって1515年に木版画「犀」のモチーフになりました。

晩年

トリスタン・ダ・クーニャ自身はインド副王の任に就くことはありませんでしたが、彼の息子ヌーノ・ダ・クーニャは1529年に第9代ポルトガル領インド総督に選ばれました。クーニャの墓はアレンケール郊外のオルハルヴォの教会にあります。

関連項目

• - トリスタン・ダ・クーニャ
• - ポルトガル海上帝国
• - マヌエル1世
• - レオ10世
• - 大航海時代

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