トルコの政党

トルコの政党制度

トルコにおける政党制度は、1982年に制定された現行憲法に基づいており、複数政党制が採用されています。1983年に成立した国会議員選挙法は、これに基づき政局の安定化を図るため、全国平均の得票率が10%に満たない政党には議席を付与されないという規定を設けています。この結果、近年の選挙では、得票率が高い2党または3党、例えば、2002年の公正発展党（AKP）や共和人民党（CHP）は地滑り的に勝利し、議会の議席を寡占する傾向にあります。

政党のイデオロギーは、中道左派（世俗主義の堅持と大きな政府）、中道右派（イスラム教に寛容な自由経済）、保守（トルコ民族主義と親イスラーム）と大きく3つに分かれています。最近の選挙では中道左派政党は約25%から30%の支持を集め、中道右派政党は50%から30%の支持を得ています。一方、保守的な支持層は10%から20%の間で推移しています。また、少数派として社会主義や共産主義を標榜する政党、クルド人の権利を擁護する政党、アレヴィ派支持を持つ政党も存在しています。

政党にとってリーダーの存在が求心力を保つ上で重要であり、特定のカリスマ的リーダーが存在することが多いです。リーダーの交替（死亡、引退、政治活動禁止など）によって政党の勢力が大きく変わることもしばしばあります。各政党の支持は地理的に不均一であり、西部地域では中道左派が強く、東部や内陸地域では中道右派や親イスラーム政党に支持が集中する傾向があります。クルド人が多く居住する地域では、親クルド政党が支持を集めていますが、隣接地域では反クルドのトルコ民族主義政党の支持も見受けられます。

また、伝統的に地方では中道右派や保守政党が強く、一方で都市部の中産階級以上は中道左派を支持することが多いです。しかし、近年ではそれぞれの地域、社会階層においてもイスラム系政党への支持が広がり、1990年代後半から2000年代初頭の選挙では福祉党や公正発展党の躍進が見られました。

歴史的背景

トルコの政党活動は、青年トルコ人による革命が起きた1908年に始まります。この革命の結果、政権を掌握した統一と進歩委員会（統一派）は初の政党として議会に参加し、強い影響力を持つこととなりました。しかし統一派の中央集権化政策に対抗する反対派が結成され、政局は混乱。第一次世界大戦の敗北と共に高官たちは亡命し、国内では新しい政治勢力が台頭しました。

戦後、ムスタファ・ケマルが中心となる抵抗運動が形成され、彼が主導するトルコ大国民議会が1920年に設立されると、トルコ革命が始まります。1923年にはトルコ共和国が設立され、共和人民党が主な政党となります。その後、独裁的な政権下で一党独裁体制が続きましたが、1945年に複数政党制へ移行し、民主党が台頭してきます。1950年には民主党が選挙で勝利し政権を奪取しますが、1960年には軍事クーデターによって政権が崩壊しました。

1960年代から70年代にかけて、中道左派と中道右派の二大政党間での政権交代が激しさを増し、軍部の影響力も強まりました。1980年の軍事クーデターによって全政党が解散し、数年後の1983年には新たに成立した祖国党が政権を掌握。1980年代には政治の不安定が続きましたが、1990年代には福祉党が力を持ち始めました。

現在の政党制度は、一連の歴史的変遷を経て整備されてきたもので、現行憲法や政党法に基づいて設立されています。政党の設立には多くの条件があり、国政選挙に参加するためには規模や組織の要件を満たす必要があります。

トルコの政党制度は、政治的流動性が高い状況にあり、リーダーと支持層のダイナミックな変化が見られます。これは、国の社会構造や経済情勢、最近のトレンドに対する国民の反応が反映されているためです。

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